Excel頼りの属人化業務を1システムに統一、標準化に成功した事例とは?

機械部品設計・販売業におけるクラウド型販売管理システムのカスタマイズ導入事例

公開日: 2024.02.01

HCSNewsLetter 第232号

取材協力

専務取締役 北嶋 智也 様

株式会社ナオックス様について

[所在地]
石川県金沢市浅野本町2丁目2番18号

[事業概要]
スプリング(ばね)及び機械部品の設計・販売

株式会社ナオックス様 Webサイト

 以前はパッケージシステムを利用し、業務に合わない範囲はExcel運用でカバー。結果、煩雑になってしまった販売管理業務に長くお悩みを抱えていました。検討を重ねた結果、カスタマイズができるクラウドサービス『ターコイズ販売管理V5』を、自社業務に合わせ導入。現場担当者の入力作業を1/3に削減し業務も正確に。結果として、タイムリーな経営判断が可能となった事例をご紹介いたします。

課題
(1)2重3重に生じる入力作業の撤廃
(2)Excel運用からの脱却、属人化解消
(3)経営判断に必要な情報の見える化
効果
(1)入力作業が1/3、データも正確に
(2)共通システムで誰でも対応可能に
(3)情報一元化で状況を即時把握可能に

目次

販売管理業務の最適化を実現するための「3つの課題」

専務取締役 北嶋 智也 様

-検討のきっかけを教えてください-

 私事ですが、以前は全く異なる業界のメーカーに従事、約3年前に当社へ入社しました。間もなく「ちょっとおかしくない?」と感じたことがきっかけでしたね。

 

 当時使用していた販売管理システムは、約20年前に導入したパッケージ製品。当社の業務に合わない点が多く、加えてカスタマイズも不可、受発注や在庫などの管理は基本Excelがメインでしたね。特に、取引にかかわる重要情報である製品マスタもシステム登録せず、長らくExcel管理のまま蓄積。システムは売上だけを入力して請求書を発行する「売上入力・請求書発行ソフト」のような使い方に。本来の役割を果たしていませんでした。

 

 その後、特定の大口顧客1社との取引が増え、手作業での対応が困難に。EDI※取引の仕組みを導入し、売上入力を効率化しようと考えました。そして約10年前にEDI連携ができる新たな販売管理システムを導入。そちらへの集約を予定していましたが、Excel運用を見直す手間を惜しんだため、2つのシステムとExcelを使った業務が続くことになってしまいました。

 

 良くない言い方ですが、「時代遅れな販売管理業務」のままでしたので、一歩進めてまずは一般企業レベルに追いつかなければ、と思いました。

 

※EDI:Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略称で、企業や行政機関などがコンピュータをネットワークで繋ぎ、伝票や文書を電子データで自動的に交換すること

-どのような課題をお持ちでしたか?-
課題1:2重3重に生じる入力作業の撤廃

 受注/発注/仕入/在庫の各台帳をExcelで管理していたので、同じような内容を何度も入力・転記しなければいけなかったのが、一番のネックでしたね。

 

 営業事務4、5名で顧客約70社を担当分担して、対応していました。本来なら、受注入力した内容を基に、後工程で参照入力するのが一般的な販売管理システムの使い方だと思います。ところが当社の場合は、Excel台帳を2つ開いて転記して、それを販売管理システムに売上だけ入力。非常に手間がかかっていました。

課題2:Excel運用からの脱却、属人化解消

 Excel台帳は社内ファイルサーバで共有管理していましたが、フォーマットは細かに決まっていたわけではありません。担当が各々使いやすいように行を増やしたり、項目を設けたり、好きに編集しているので、担当本人しかわからない部分があったり。引き継ぎするのにも時間がかかっていました。

課題3:経営判断に必要な情報の見える化

 売上や注残の状況は、月末になってみないとわかりませんでした。売上入力は、売り上がったタイミングで入力する担当者もいましたが、中には週1回、月末にまとめて1回など、担当者によってタイミングがバラバラ。もしリアルタイムに確認しようとしたら、各担当者が顧客別に管理している数十ファイルのExcelを全部開いて数字を合計しなければならず、現実的ではありませんでした。在庫管理も担当者任せ。入出庫をExcelで手入力し、発注点に到達したら担当者が発注する、といったアナログな運用。担当者が休むと状況がわかりません。

 

 経営判断のための実態がすぐに見れないという状況は、非常に問題でした。

「3つの課題」を解決する「ターコイズ販売管理 V5 クラウド」

-採用の決め手を教えてください-

 HCSさんから「クラウドでカスタマイズ可能」とご説明いただいたことが決め手です。

 

 以前の2システムは、一方がパッケージソフトでもう一方は特定大口顧客向けに特化してカスタマイズしてしまっている状況。これを業務に沿った形に改善するのは難しいと判断しました。別の販売管理システムを探すことにしましたが「カスタマイズ可能」は必須条件。

 

 また「クラウド型」も条件に。以前の販売管理システムはいずれもオンプレミス型で、当社内にサーバを設置して運用していました。人員が増えてきたので社屋が手狭に。販売管理システムを刷新するなら、サーバをなくしてスペースを確保したいと考えていました。

 

 そんな時、とある展示会でHCSさんのブースに立ち寄ったところ、ちょうど「ターコイズ販売管理 V5 クラウド」をリリースしたばかりとのご紹介が。HCSさんが地場企業で相談しやすく、システムが当社のニーズ通りだったので、結構刺さりましたね。

-工夫された点を教えてください-

 抜本的に業務フローから見直しました。特定大口顧客向けに対応していた部分など踏襲する部分をHCSさんにご説明し、両社一緒に成長しながら業務フローのスリム化を検討。新たな業務フローをゴールとして、システムにどのような機能を設けるか、という議論を重ねました。

 

 現場の担当者に、要件定義の場へどんどん参加してもらいました。

 以前のシステムは、導入の際に当社の管理職だけでシステムベンダーさんと打ち合わせをして、実業務にそぐわない形で話が進んだのだと思います。「何でこんな使いづらいものを?」という思いが現場担当者には多分あったと思います。この時の反省があったので、なるべく現場には参画させたい、という思いが一番大きかったですね。

 

 販売管理システムの利用者である営業事務は、打ち合わせに全員参加。内容によっては経理を呼んだり、営業を呼んだり、打ち合わせ参加者は都度ピックアップしました。

導入効果・メリット

-取り組みの効果はいかがでしたか?-
効果1:入力作業が1/3、データも正確に

 各担当がExcelで管理していた受注/発注/仕入/在庫の情報をシステムに集約し、マスタ整備することで、まずは一般企業レベルの販売管理業務になりました。Excel間の転記は不要になり、以前と比べ入力作業は1/3程度になったと思います。転記ミスの不安も軽減できました。

 

 受注登録は、EDI連携する特定大口顧客分と、その他顧客分に大きく分類。その他顧客の受注登録については、入力の負荷を軽減できるよう営業事務の意見を取り入れました。顧客からの注文は、電話、メール、FAXなど様々。2、3件の注文であれば1件ずつ画面に手入力でも手間はさほどかかりませんが、件数が多い時のために、一括登録機能を設けました。色んな顧客の注文に対応可能な汎用レイアウトのCSVを採用、明細複数行で注文が一括登録できます。

効果2:共通システムで誰でも対応可能に

 顧客別に数十ファイルのExcelに分けて管理していた販売管理データは、システムに一元化。業務フローを見直した上で、業務にフィットするようにシステムをカスタマイズ。共通フォーマットで管理するようになり、いつ・だれでも対応できるようになりました。業務を標準化できたので、引き継ぎもスムーズに。Excel管理がいらない環境にはなったのですが、システム更新から日も浅く、各担当者が新しい業務フローに慣れるまでにはもうしばらく時間を要すると思います。システムのカスタマイズも少し残っているので、2年先くらいを目途にExcelは基本的になくしていこう、という話をしています。それまでは補助的な役割でExcelが残ることになります。

効果3:情報一元化で状況を即時把握可能に

 正しい数字がリアルタイムに見えるようになりました。

 

 以前は売上のみシステム入力していたのが、受注入力から始めるように。さらに毎日入力するので、売上や利益、注残などの正確な情報が、即時確認できるようになりました。

 

 在庫管理は、出荷検品・棚卸でハンディターミナルを導入。以前は特定大口顧客分の出荷検品のみを対象に使っていましたが、ピッキングの実績を記録するだけで、理論在庫がわかるようなものではありませんでした。今は全顧客の取引を対象に出荷検品できるようにし、在庫管理と連動しています。

 

 タイムリーに入出庫登録し、在庫管理を常に最新化できる運用に。以前までは決算時期の棚卸結果を待っていた情報が、経営指標として、常時実態に近い数値で評価できるようになりました。異常値も早く検知できます。

今後の展望

-今後、取り組みたいことをお聞かせください-

 販売管理システムをクラウド化できたので、次はファイルサーバをクラウド化し、社屋からサーバをなくしたいですね。先日の地震では、幸いサーバに被害はありませんでしたが、クラウドシフトの重要性を痛感しました。今、HCSさんに相談しているところです。

-インタビューにご協力いただきありがとうございました-

メルマガでお届け!北陸企業のIT活用事例から、課題解決のヒントが見つかる!!

(1)毎月、最新の事例をご紹介
(2)お客さまのIT活用成功事例を「事例集」として配信
(3)その他、コラムやイベント情報などをお知らせ

>3分で完了、メルマガ登録はこちら!

関連導入事例

お気軽に資料請求ください。

様々な課題解決事例集をご用意しています。
お気軽に資料請求ください。