経営戦略の立案を実現する販売管理のしくみとは?

製造業でのクラウド型販売管理システムの活用事例

公開日: 2022.05.02

HCSNewsLetter 第211号

取材協力

取締役 執行役員 統括部門長
山下 文博 様
業務部 MS 管理室 室長
松本 勇 様

カガライト工業株式会社様について

[所在地]
石川県金沢市釣部町ヤ14 -1

 「カガライト」とは、金沢市の郊外で豊富に産出される天然小粒軽石です。鋳造・製鉄除滓用や農薬増量用、塗料用、沪過材など、さまざまな分野から注目されています。

カガライト工業株式会社様 Webサイト

 天然小粒軽石「カガライト」を製造・販売するカガライト工業株式会社様。売上実態を正確に把握・分析できる販売管理システムの構築に成功した事例をご紹介いたします。

課題
(1)クラウド活用によるBCP対策
(2)正確な販売実態の把握
(3)非効率な業務の改善
効果
(1)属人化を解消、被災時も業務継続
(2)分析精度を向上し、注力業界を見直し
(3)毎月約3時間の売上集計作業がゼロに

目次

経営戦略の立案を実現するための「3つの課題」

取締役 執行役員 統括部門長 山下 文博 様

-検討のきっかけを教えてください-

課題1:クラウド活用によるBCP対策

 販売管理システムの運用担当者の入院が、検討のきっかけです。属人化のリスクが表面化し、対策が必要になりました。
 平成5年の創業以来、25年以上使用していた販売管理システムを、担当者以外に活用できる者がいませんでした。販売管理システムは、企業活動における心臓部です。システム運用やデータ管理を一人にすべて任せていたのですが、本来もっと早く対策を取るべきでした。

課題2:正確な販売実態の把握

 

 当社の製品の約80% は、鋳物の除滓(じょさい)※剤として出荷されています。製品の出荷比率が特定用途に偏っており、市場ニーズの変化に対応できるよう、注力先を見直すべきだと考えました。そのためにはデータ分析の観点を追加し、販売の実態を正確に把握する必要がありました。

 例えば、鋳物の大半は自動車のエンジン部品です。自動車のEV化によりエンジン部品の製造が減れば、除滓剤の需要も減ってしまうでしょう。市場変化を見据え、他の業界や用途のシェアを高めることで、経営基盤の安定につなげたい思いがありました。

 

※「除滓」とは、製鉄の過程で発生する溶解金属上の浮遊物質を除去すること。

課題3:非効率な業務の改善

 売上集計や会計入力に手間がかかっていました。
 製品の用途別売上を集計する際、納入先ごとの月間売掛集計表をシステムから印刷して、手作業で数値を拾っていました。毎月約3時間はかかる、気の遠くなるような作業で、すごく苦労していました。
 また、販売管理システムは本社でしか使えなかったので、本社から車で約20分のところにある経理部門に、月間売掛集計表を毎月持ち込み、会計入力していました。

「3つの課題」を解決する 「販売管理システム」

-採用の決め手を教えてください-

 BCP対策と、システムの柔軟性を重視しました。
 自社にサーバを設置するか、クラウド型にするか、という選択肢がありました。時代の流れは、やはりクラウド型ですよね。自然災害が多い昨今、同業者で採掘場の崩落などが増えています。当社も同じような立地なので、事業継続の観点を重視しました。その他、コスト面や人材面、アフターフォローなど総合的に判断し、クラウド型に決めました。
 また、当社の要望に合わせて、管理区分や区分別集計機能の追加など、柔軟にカスタマイズできる点が決め手でした。経営戦略の立案には、現状を正しく把握する必要があるので、きちんと売上データが分類できるよう、検討に時間をかけました。

導入効果・メリット

-取り組みの効果はいかがでしたか?-

効果1:属人化を解消、被災時も業務継続

 

 いつでも、どこでも、だれでも作業できる環境が整い、属人化した運用から脱却することができました。また、サーバはクラウド環境にあるので、仮に本社が被災しても事業を継続することが可能になりました。

 クライアント側も事業継続の対策として、SIMカードでネットワーク接続できる端末を用意しました。メインであるケーブルテレビの回線でネットワーク接続できなくなった時の、予備回線です。幸い、まだバックアップ用としての出番はありませんが、普段も使用しています。

効果2:分析精度を向上し、注力業界を見直し

 

 機能面では、用途別や納入先地区別で売上集計もカスタマイズで対応してもらい、売上の傾向を正しく捉えられるようにしました。
 新しいシステムが稼働して1 年が経ち、データが蓄積されたので、今後は売上の増減や取扱品目の変化など、分析に有効活用したいです。

効果3:毎月約3時間の売上集計作業がゼロに

 

 用途別の売上集計がシステム化され、報告資料の作成作業が格段に早くなった点も大きな効果です。
 経理の事務所からも販売管理システムにアクセスできるようになり、集計表を印刷して持ち込む必要がなくなりました。

同じ課題を持つ皆様にひと言

-同じ課題を持つ皆様に、ひと言お願いします-

 システム投資においては、固定概念にとらわれてはいけません。時代の流れや変化を見極めた決断が重要です。「虫の目」「鳥の目」「魚の目」という言葉がありますが、「魚の目」を持って時代の流れを見失わず、積極的にデジタル化に取り組み、環境変化に対応しましょう。

-インタビューにご協力いただきありがとうございました-

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