経理処理後にスキャンするだけ。手間なく電帳法対応する方法とは?

電帳法対応を通じて紙の請求書をペーパーレス化した経理部門の取り組み事例

公開日: 2024.05.01

HCSNewsLetter 第235号

取材協力

GQサポートグループ システムチーム
マネージャー 徳永 憲昭 様

コマツサービスエース株式会社様について

[所在地]
福井県福井市主計中町第13号7番地

[事業概要]
建設機械やフォークリフトの販売・レンタルおよびメンテナンス整備・修理

コマツサービスエース株式会社様 Webサイト

人手不足の深刻化を見据え、全社で5Sに取り組み「紙は廃棄」を基本姿勢とする中、執務スペースを圧迫する長期保管書類の廃棄が課題に。そこで受取請求書のペーパーレス化を念頭に電子帳簿保存法の対応に着手。一部作業をアウトソーシングし社員への負担をかけず法対応に成功した事例をご紹介いたします。

課題
(1)業務影響・費用負担の少ない法対応
(2)5S観点での紙請求書廃棄
(3)過去の請求書の探索速度向上
効果
(1)入力代行により経理2名でも負担なく
(2)卓上スキャナで手軽に電子化
(3)請求書データ化で検索可能に

目次

請求書のペーパーレス化を実現するための「3つの課題」

GQサポートグループ システムチーム

マネージャー 徳永 憲昭 様

-検討のきっかけを教えてください-

 以前から当社では「書類の廃棄」が課題となっていたのですが、そこへ電帳法対応の課題も重なり、検討を開始。電帳法対象の紙帳票をスキャナで読み取り電子データ化、電子保存の要件を満たせば原本を破棄できる点に着目し、電帳法対応の延長線上で請求書のペーパーレス化に取り組むことにしました。

 

 当社では受取請求書の約9割が紙です。枚数にすると1か月あたり500枚超。本社を含め7拠点から請求書が集まり、2名で経理作業を行います。

-どのような課題をお持ちでしたか?-
課題1:業務影響・費用負担の少ない法対応

 

 電帳法の要件に沿った業務運用の検討・準備に時間と人員を割く余裕がなく、自力での対応は無理と判断。そこで電帳法対応サービスを扱う複数社に相談しました。

課題2:5S観点での紙請求書廃棄

 請求書の保存期間が7年、文書保存箱で言うと大体年間10箱ほどの量になります。それが7年分常に置いてある状態ですので、場所も取りますし見た目もよろしくない。当社は5Sの観点で「紙の削減・廃棄」を全社的な課題として取り組んでいましたので、廃棄が望ましいと考えていました。

課題3:過去の請求書の探索速度向上

 当社の各拠点から経理チームに対し「過去の請求書を見たい」という問い合わせがあります。過去案件の発注先や仕入原価について元の請求書を見て詳細を確認したい、という内容なのですが、その都度経理チームが紙の請求書を探していました。頻繁にではないのですが、結構手間がかかっていたようです。また見つけた請求書をFAX送信すると文字がぼやけて見づらい、ということもありました。

 

 「請求書の受取代行」や「複合機によるAI-OCR読み取り」など複数社のサービスをトライアルしましたが、結果としてはいずれも断念。

 

 「請求書の受取代行」サービスは、請求書の内容を明細レベルまで入力してくれるオプションがありましたが、費用が高い。大企業向けかと思うようなコストでした。また、受取代行は当社でタイムリーに請求書が確認できないので、支払いまでのタイムラグが発生しまいます。請求書は自社で受け取らないと経理業務に支障があるということで頓挫しました。

 

 「複合機によるAI-OCR読み取り」サービスは、請求書ひな形を10種類しか登録できず、読み取り精度も人に変わるレベルではありません。手書き文字や枠外にはみ出した文字はうまく読み取れない可能性があり、確認に手間がかかるのは目に見えていました。

「3つの課題」を解決する「かんたんペパレス!」

-採用の決め手を教えてください-

 経理業務の運用を大きく変えず、負担なく対応できた点です。

 

 複数社のサービスをトライアルしてみたものの当社に合わず、しばらく話が進まない状態のところにHCSさんが「かんたんペパレス!」を紹介してくれました。

 

 手順は、今まで通り経理処理を行った後に、請求書をスキャンするだけ。JIIMA認証(電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証)のスペースに保管され、HCSさんが人の手で、必要な項目だけを代行入力してくれます。費用も比較的安価で、当社にとっては大変都合がよいサービスでしたね。

-工夫された点を教えてください-

 請求書の電子データを保管するフォルダや、検索項目の入力フォームを作成する必要があります。ノーコードツールなので自前で作成することも可能なのですが、環境構築に費やす時間がなかったのでHCSさんにお願いしました。電帳法対応用のテンプレートをご用意いただいたのですが、画面はシンプルで使いやすいですね。

 

 取引先ごとに請求書のフォームが異なるので、運用テストの段階で請求書のどの項目を検索項目として入力するか、当社とHCSさんとで認識合わせをした上で本運用を迎えました。例えば、請求書によって複数の日付表記があったりすると、どれを取引年月日として入力するか、などを入念に意識合わせしました。

導入効果・メリット

-取り組みの効果はいかがでしたか?-
効果1:入力代行により経理2名でも負担なく

 電子化された請求書を見ながら、電帳法の検索要件である取引年月日・取引金額・取引先名をHCSさんが代行入力してくれます。経理チームは経理処理を終えた請求書をスキャンするだけなので、電帳法対応による負担増はほとんどありません。

 

 2024年1月1日から義務化された「電子取引情報の電子保存」にも、負担なく対応。電子データで受領した請求書は、そのまま「かんたんペパレス!」上のフォルダに登録すれば、紙をスキャンした時と同じように検索項目を代行入力してくれます。

 

 経理部門に閉じて対応できたのもよかったですね。他部門の社員へ説明しないといけないことも、取引先様にお願いすることもなかったです。

 

 スキャンした請求書は、1年程度保管しておいて、様子を見て廃棄しようと思っています。

効果2:卓上スキャナで手軽に電子化

 「かんたんペパレス!」利用の際にレンタルできる「ネットワークスキャナ」がよかったですね。自席で経理処理を行った流れで、すぐそばの卓上に設置したネットワークスキャナで請求書を読み取り。複合機を使うとなると歩いて移動も必要ですし、請求書を予め整理して持っていかないといけないですが、卓上であれば書類を整理しながら順番に読み取ることもできて、座りながらできるのですごく楽ですね。

 

 また、手書き請求書のような小さいサイズでも簡単にスキャンできるのがすごく便利です。スキャナの見た目でA4サイズしか読み取れないと思っていましたが、請求書の幅に合わせてガイドをセットするだけで簡単読み取り。複合機だと最初に用紙サイズを指定しないと読み込んでくれません。請求書のサイズによっては一旦複合機でスキャンしなければいけないと想定していましたが、そのようなことはほぼありません。両面読み取りも可能です。

 

 使ってみてからの方が本当に良かったのがこのスキャナ、期待を上回りましたね。絶対おすすめしたいです。

ネットワークスキャナで請求書を読み取る様子

効果3:請求書データ化で検索可能に

 電帳法の検索要件に対応したことで、請求書をPC上で条件検索できるようになりました。以前は経理チーム2名が紙を探すのにすごく苦労していたので、過去の請求書を探すスピードが断然速くなったことを実感しています。請求書はPDFで保管してあるので、問い合わせがあったらPDFを返信。FAX送信の時のように、文字がぼやけて見づらい、なんてことはありません。

 

 使い始めたばかりなので、この先1年2年と使い続ければ、PCで検索できる対象が増え、将来さらに楽になるのだろうと思いますね。

今後の展望

-今後、取り組みたいことをお聞かせください-

 電帳法対応をきっかけに、請求書のペーパーレス化が進みました。5Sの観点で、今回の取り組みが他部門にも横展開できないか、検討してみたいですね。

 

 新たな取り組みとしては、生成AIを社内ポータルに組み込んでいきたいと思っています。社員が気軽に質問して返答してくれる仕組みを構築するのが今年の課題です。

-インタビューにご協力いただきありがとうございました-

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