販売管理システムとは?「導入目的やメリット、基本機能、選定方法、代表的な7製品、事例を解説」
販売管理システムとは何か?どんなメリットがあり、どのような機能があるのか?の基礎を解説。また選定方法、代表的な製品、導入事例もご紹介
公開日:2022.11.22

企業が存続するためには、商品やサービスを顧客に提供し、売上を立て、代金を回収し、利益を出す必要があり、そのための業務を販売と言います。販売を行うためには、扱う商品やサービスの他、顧客や仕入先など、多様な情報が必要になります。さらに、見積書・請求書・契約書・領収書など、作成する文書も多く、担当者も複数になる場合が多いです。
そのため、販売に関する業務を、正確かつ効率的に行うためには、商品やサービスの詳細情報、顧客情報や取引実績などの他、見積・受注・出荷・納品・請求・回収などの販売プロセスを、管理し把握することが必要になり、これを販売管理と言います。
また、販売プロセスについては、下図(図1.業務関連図)のとおり、関連する業務が多岐にわたるため、ITツールを利用することが多く、各ベンダーから、多種多様な販売管理システムが提供されています。

この記事では、販売管理システムを選択し、利用する時に、考慮する点について考えてみます。
1.販売管理システムとは
(1)販売管理システム(基本機能タイプ)
(2)販売管理システム(機能拡張タイプ)
(3)販売管理システムの目的と導入メリット
2.販売管理システムの基本機能
(1)見積管理機能
(2)受注管理機能
(3)売上管理機能
(4)請求管理機能
(5)入金管理機能
(6)基本機能の一覧表まとめ
(7)その他の補完機能
①商品管理機能
②単価管理機能
3.販売管理システムを選定するときの比較ポイントや注意点
(1)業種・業態で選ぶ
(2)利用規模・業務範囲
(3)データ連携
(4) ベンダーのサポート体制
(5)制度改正対応の考え方
4.販売管理システムの運用形態
(1)オンプレミス
(2)クラウド
(3)オンプレミスとクラウドの比較
5.販売管理システムと関連のあるシステムの連携
(1)購買管理システム
(2)在庫管理システム
(3)顧客管理システム
(4)財務会計システム
(5)生産管理システム
(6)物流管理システム
(7)契約管理システム
6.販売管理システムの製品一覧例
7.販売管理システム「ターコイズ販売管理」について
(1)特徴
(2)主な機能
(3)関連する周辺システム
①帳票トータルサービス
②ターコイズEOS
③勘定奉行
④検品君クラウド
⑤LINEWORKS
⑥Salesforce
(4)製造業向け「ファクトリ ターコイズ販売管理」
8.「ターコイズ販売管理」の導入事例
(1)事例1.株式会社八幡様(石川県羽咋市)食品流通業の導入事例
(2)事例2.中越パッケージ株式会社様(富山県砺波市)紙加工業の導入事例
(3)事例3.カガライト工業株式会社様(石川県金沢市)鉱物採取業の導入事例
9.最後に
(1)目的・目標を再確認する。
(2) 効果性をシミュレートする。
(3)小さく始めて、大きく育てる。
1.販売管理システムとは
販売管理システムとは、先に述べたように、受注から納品、請求・代金回収までの一連のプロセスにおいて、「もの(商品・サービス)」「お金」の流れを管理するITツールのことを言います。
また、扱う商品・サービスの内容により、購買管理・在庫管理機能を含む場合があります。
(1)販売管理システム(基本機能タイプ)

見積、受注、売上、請求、回収(入金)の機能を持ち、見積書・受注伝票・売上伝票(納品書)・請求書(締め請求・都度請求)等を作成します。その他、部門・担当者・得意先・商品分類別の集計表・分析表などの機能を持ちます。
また、予算管理機能を持ち、予実管理表を作成できるシステムもあります。
(2)販売管理システム(機能拡張タイプ)
(1)で述べた販売管理機能の他、購買管理・在庫管理機能を持ちます。

購買管理(仕入管理)は、発注・仕入・支払の機能を持ち、発注書・仕入伝票・支払予定表等の作成、FBデータ作成等の機能を持ちます。在庫管理は、入庫・出庫・倉庫間移動・棚卸の機能を持ち、商品受払表・発注点割れ表・滞留在庫表等の作成の他、セット商品の在庫管理機能を持つシステムもあります。
(3)販売管理システムの目的と導入メリット
販売管理システムの目的として、大きく以下の2点があります。
- 先に述べたように、「もの」「お金」の動きについて情報を正確に管理し、納品の漏れや重複、代金の回収漏れなどのミスを防止する。
- 1.を踏まえ、商品ごと・得意先ごとなどの売上を把握・分析し、営業・経営の判断に活用する。
また、導入後のメリットとして、以下の5点が考えられます。
- 事務の正確性向上・効率化が促進できる。特に、担当者が複数名、複数部門、複数の事業所にまたがる場合に、効果性が高くなります。
- 顧客からの問合せに、迅速に対応できます。
- Web機能を活用し、場所を選ばず、顧客へ情報提供ができます。
- 売上・収益状況を分析し、マーケティングに活用できます。
- 適切な仕入、生産計画と組合せ、保管コストの削減が図れます。
以上により、顧客満足度の向上だけでなく、従業員満足度の向上や収益性の改善につながります。
2.販売管理システムの基本機能
ここでは、販売管理システムが持つ5つの基本機能について整理します。
(1)見積管理機能
顧客情報・商品情報を使いながら、見積書を作成する他、作成した見積を検索・表示します。また、参照した見積を引用しながら見積を作成できるシステムや、作成した見積をPDFなどで出力できるシステムもあります。
(2)受注管理機能
商品・サービスの注文を、受注データとして登録・修正します。登録してある受注データを、得意先・受注日などの項目をキーとして検索します。また、見積情報を参照しながら登録できるシステムもあります。その他、受注した商品が在庫切れの場合や設定した粗利率を下回った場合に、アラートを出すことや、商品の仕入先に同時に発注できるシステムもあります。
(3)売上管理機能
商品・サービスの売上・売掛を登録します。すでに登録してある受注データを参照して、内容を確認し、売上データを作成できます。売上伝票や売上明細表といった帳票類を作成できます。売上情報をEXCEL連携する機能や、集計機能を持ち売上情報が即座に可視化できるシステムもあります。
(4)請求管理機能
売上データに基づき請求書を作成します。請求書を作成するため、複数回の締処理に対応しているシステムや、取引先からの指定伝票で帳票出力することができるシステムもあります。
(5)入金管理機能
入金後、債権の消込を行います。入金・未入金の状況を取引先・期間などの項目で、検索・一覧表示し、未回収の売掛金を効率よく行い、回収漏れを防ぎます。
(6)基本機能の一覧表まとめ
見積管理機能 |
見積を登録し、見積書を作成します。 |
受注管理機能 |
商品・サービスの注文を受注データとして登録します。見積データを参照。 |
売上管理機能 |
商品・サービスの売上を確定します。受注データを参照。 |
請求管理機能 |
確定した売上データから請求書を漏れなく作成し、債権として確定します。 |
入金管理機能 |
入金後の債権の消込を行います。 |
(7)その他の補完機能
(6)でまとめた販売管理システムの5つの機能を補完する主な機能として、「商品管理機能」「単価管理機能」があります。
①商品管理機能
商品の有効期限を設定する、商品コードを複数持つ(自社コード、メーカーコード、JANコードなど)、商品区分を複数持つなどの機能を持つシステムがあります。
②単価管理機能
得意先別、単価区分別(バラ、ケース、ボールなど荷姿に対応)、数量別、期間別など、取引形態に合わせて取引単価を設定できる機能を持つシステムがあります。
3.販売管理システムを選定するときの比較ポイントや注意点
一口に、販売管理システムといっても、多種多様なシステム・サービスが提供されています。その中から、自社に合ったものを選ぶには、いくつかの視点があります。そのうち、主な5つの視点で考えてみます。
(1)業種・業態で選ぶ
販売管理システムには、業種・業態にとらわれない汎用的なものと、特定の業種・業態に特化したものがあります。業種によって、管理する項目、業務手順が異なります。どこまでの対応を必須とするのか、実際に運用する場面を想定して検討します。
(2)利用規模・業務範囲
販売管理システムには、大規模向けから小規模向けまで、様々なものがあります。必要な機能の他、利用する事業所・部門・担当者の数、想定されるデータの種類や件数なども、考慮に入れる点です。機能が豊富でも、使わない機能が多ければ、無駄に終わります。まずは、必要最小限の機能に絞り、4~5年後を想定して選択します。
(3)データ連携
販売管理システムの他、いくつもの業務システムを使う場合が多くなっています。その際、業務システム間のデータ連携が重要です。データ連携のやりやすさや連携の頻度、関連するデータを一元管理するシステム(ERP「統合管理システム」(※1))も含め、検討します。
(4) ベンダーのサポート体制
販売管理は、企業経営の根幹を支える業務であり、正確で速やかな業務遂行が大事です。その重要な業務を支える販売管理システムに障害が発生し、その対応に時間を要することは避けなければなりません。
そこで、重要になるのがベンダーのサポート体制です。障害対応の迅速さだけでなく、対応の形態(メール、電話、訪問)や、対応の受付時間も考慮します。個別に費用発生も考えられるので、サービスの定義・範囲・内容・目標達成・価格等を取り決め、「サービスレベル合意書(Service Level Agreement)」として取交すことをお奨めします。
(5) 制度改正対応の考え方
「ベンダーのサポート体制」と関連しますが、制度改正へのベンダーの対応方針です。直近のテーマとして、2023年10月1日から始まる「インボイス制度(コラム「インボイス制度とは?」参照)」があります。制度改正だけでなく、システム対応、費用の考え方などについての情報提供のありかたも、考慮します。
(※1)ERP(統合管理システム)
基幹業務システム(販売管理・生産管理など)との違いは、企業経営に関係する複数の業務システムが、データの一元管理を主眼として統合されている。
4.販売管理システムの運用形態
システムの運用形態には、「オンプレミス」と「クラウド」があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
(1)オンプレミス
サーバ、ネットワーク機器、ソフトウェアなどの情報システムを、ユーザが自身で管理できる施設内に設置して、運用する形態のことを言います。
(2)クラウド

オンプレミスと対になる形態で、ユーザは、サーバなどを保有せず、インターネット経由でサービス提供事業者が提供するサービス(ソフトウェアやデータ)を利用する運用形態のことを言います。
(3)オンプレミスとクラウドの比較
オンプレミス | クラウド | |
初期費用 | 高額になりやすい |
オンプレミスと比較すると低額 |
維持・運用費 | 人件費・機器更新費など |
利用料金(月額定額・従量制) |
固定資産税 | 課税 |
非課税 |
導入までの期間 | 長くなりやすい |
短期 |
カスタマイズ性 | 自由(費用からくる制限あり) |
制限あり(標準機能ではなく、別に追加機能として開発) |
障害対応 |
自社対応可能であれば早い 委託業者対応の場合、委託業者都合・契約内容による |
クラウドサービス事業者任せ |
災害対策 | 自社の設備次第ではあるが、可用性が高くない場合が多い |
データセンターの可用性が高い 課題はネットワークの確保 |
また、システムの運用形態と関連性があるのが、料金体系です。「オンプレミス」は買い取りになるので、「一括・分割支払」と「リース」、「クラウド」は一般的に「サブスクリプション」と言われますが、厳密には、「月額制/定額制」と「サブスクリプション」にわかれ、それぞれ、以下の特徴があります。
サブスクリプション | 月額制/定額制 | リース | |
利用形態 | 期間に拘らず、定額制で利用できる。 |
期間に拘らず、定額制で利用できる。 |
長期間(5年)の契約が一般的。 |
サービス内容 | 必要に応じて変える(料金も変わりうる)。 |
変わらない。 |
追加可能であるが、 |
解約 | 任意の時期に解約できる。 |
任意の時期に解約できる。 |
途中解約しにくい。 違約金が発生する。 |
5.販売管理システムと関連のあるシステムの連携

図1.業務関連図にあるとおり、販売管理システム以外にいろいろな業務システムがあります。
そのうち、主な業務システムとの連携を考えてみます。
(1)購買管理システム
購買管理システムとは、原材料や部品、商品など、様々な資材を調達するにあたり、仕入先や価格、納期、さらには買掛金の支払などを管理するシステムで、仕入管理システムという場合もあります。販売管理システムとは、受注データを連携し、発注データとして活用することも可能です。
(2)在庫管理システム
在庫管理システムとは、入出庫の履歴や、倉庫・棚版の移動、棚卸などの情報を管理するシステムです。販売管理システムとは、受注時の在庫状況・出荷予定の連携、出庫と売上の連携などがあります。
(3)顧客管理システム
顧客管理システムは、顧客に関する情報(属性-基本情報、取引実績)を管理・分析し、自社の営業活動に利活用するシステムで、CRM(コラム「CRMとは?」参照)という言い方をすることもあります。販売管理システムとは、顧客の基本情報、売上データの連携があります。
(4)財務会計システム
財務会計システムとは、仕訳伝票入力や帳簿作成、決算書等の財務諸表の作成を行うシステムです。販売管理システムとは、売上データ、入金データを連携することがあります。
(5)生産管理システム
生産管理システムとは、需要管理、生産計画、所要量計算、調達計画、工程管理、原価管理などを行うシステムです。販売管理システムからは、受注データを連携し、需要管理・生産計画に活用します。
(6)物流管理システム
物流管理システムとは、商品だけでなく原材料も含め、入荷から出荷までの工程や扱う商品等の情報を管理するシステムです。主に、入荷・出荷を管理する倉庫管理機能と、トラックの手配や配送状況を管理する配送管理機能を持ちます。このうち、倉庫管理機能に特化した倉庫管理システムがあります。
(7)契約管理システム
契約管理システムとは、契約書の作成、保存(電子データ)、検索だけでなく、契約書の期限管理や更新時期の管理、契約内容の変更履歴等を管理するシステムです。販売管理システムとは、契約内容から請求すべき時期に請求情報として、販売管理システムに連携する機能などがあります。
6.販売管理システムの製品一覧例
これまで考えてみたように、①汎用的なもの・業種に特化したもの、②大規模~小規模、③運用形態という切り口があり、いくつかの例をあげてみます。
製品名 | 概要 |
商奉行 |
汎用型。 スタンドアロン、ネットワーク、クラウドなど、機能・運用形態も含め、製品・サービスのバリエーションがあり、導入規模・目的に合わせて選択の幅がある。 |
販売大臣 | |
弥生販売 | |
PCA商魂 | |
ガリバー販売管理 |
建設業・工事業向け。 販売管理に限らず、建設業・工事業の各種業務システムとの連携機能あり。 |
Kiwami |
産廃・リサイクル業向け。 計量・マニフェストシステムなどとの連携機能あり。 |
ターコイズ販売管理 |
汎用型。 製造業に特化した機能を加味した「ファクトリ ターコイズ販売管理」あり。 |
7. 販売管理システム「ターコイズ販売管理」について
(1)特徴
- オンプレミス、クラウド対応があり、運用に合わせて、導入形態を選択できる。
- クラウド版でも個別カスタマイズが可能である。
(2)主な機能
- 受注・売上・請求・売掛(予実管理機能あり)
- 発注・仕入・買掛・支払
- 在庫
- EOS
- システム連携
(3)関連する周辺システム

販売管理システム「ターコイズ販売管理」には、販売管理と連携できる周辺システムもラインナップが揃っております。
①帳票トータルサービス
納品書・発注書などの「電子データ化」「WEB照会」「FAX代行配信」「プリンティングサービス」に対応するサービス。CSV形式によるデータ連携など。「電子データ化」「WEB照会」は、取引先とのデータ連携も可能で、取引先の業務改善にもつながります。
②ターコイズEOS
ターコイズEOS単独導入から、代行受信などデータセンターサービスの利用、ターコイズ販売管理システムとのデータ連携など、段階的なシステム導入が可能です。
③勘定奉行
オービック・ビジネス・コンサルタントが提供する経理パッケージシステム。自動仕訳データによる連携により、事務の効率化・正確性の担保につながります。
④検品君クラウド
倉庫内での検品、在庫管理、トレーサビリティ、作業分析が可能なパッケージソフトであり、倉庫内で活用できるコンサルティング型パッケージです。入出庫、検品、在庫管理などにデータ連携することで、最適な業務運用につながります。
⑤LINEWORKS
企業向けのクラウド型ビジネスチャットツール。メッセージのやりとりの他、予定管理、ファイル共有、アンケートなどが可能である。取引先情報・実績データを連携します。
⑥Salesforce
顧客管理・商談管理・営業活動管理などを行うクラウドサービス。
取引先情報・実績データを連携します。
(4)製造業向け「ファクトリ ターコイズ販売管理」
ターコイズ販売管理システムに「実績管理」「原価管理」機能を加えた、製造業務向け販売管理システムで、下記の2点が特徴です。
- 「受注」→「生産指示」→「外注手配・調達」→「実績管理」→「出荷」といったすべての工程を一元管理することで、業務効率向上を図れます。
- 受注(案件/プロジェクト)単位に作業指示、外注手配、仕入、在庫振替が紐づくことで利益を正確に把握できます。
8. 「ターコイズ販売管理」の導入事例
導入事例を3つ、ご紹介します。
9.最後に
販売管理というと、あまりにも当たり前すぎて、かえって考える幅が狭くなりがちです。一方で、世の中の流行りだから・・・と、思考停止に陥ることもあります。
いまさらながらですが、システムの導入・更改を考える時、以下の3点に注力することをお奨めします。
(1)目的・目標を再確認する。
改めて、目的と目標の整合性がとれているか、考えてみましょう。目標をクリアすることで、目的が実現するのか?目標はデジタルに(数値で)表現するようにこころがけましょう。例えば、「業務を効率化する」「情報共有を進める」とした場合、どうやって、それを測定するか?を再確認しましょう。
(2)効果性をシミュレートする。
導入し運用した結果、どのような効果がでるのか、事前にシミュレートします。この時に、効果性を測る基準(項目、測定方法、影響度、タイミングなど)を決めておきます。運用開始後、その計画に沿って効果を測定し、分析し、以後の対策につなげます。
(3)小さく始めて、大きく育てる。
先に述べたとおり、無駄な投資にならないように、「ないと困る」「あると便利」「なくてもよい」「ない方がよい」という視点で考えましょう。意外に、なくても何とかなる場合があるものです。
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