食品の販売管理業務を改善する方法とは?
食品の販売管理を改善した事例
公開日: 2022.02.01
HCSNewsLetter 第208号
取材協力
総務部長 大沢 厚志 様
株式会社八幡様について
[所在地]
石川県羽咋市兵庫町午10番地
[事業概要]
すしべん23店舗の運営。グループ企業には、「まぐろや本店」や食品製造工場である「味のやはた」がある。
石川県内で「コンビニエンスストア」と「レストラン」を併設した店舗である「すしべん」を23店舗運営する株式会社八幡様。販売管理システムの更新をきっかけとしてどのように課題を解決し、どのような効果が得られたのか?その詳細をご紹介します。
- 課題
- (1)製造販売一体の原価管理
(2)入金処理の簡素化
(3)実績に基づく製造計画の適正化
- 効果
- (1)「販売」の改善で理想への第一歩
(2)入金処理時間を約40%削減
(3)製造実績データ分析による現場改善
販売管理業務改善のための「3つの課題」
総務部長 大沢 厚志 様
-販売管理システムの更新前は、どのような課題をお持ちだったのでしょうか?-
課題1:製造販売一体の原価管理
「八幡」では、販売管理の仕組みである「特注管理システム」に受注入力しています。すしべんで販売する弁当や総菜、店舗で作る飲食品の材料、店舗やネットで注文を受けるオードブルなどが対象です。受注入力後、グループ内で製造を担当する「味のやはた」に発注します。現状、「八幡」では「味のやはた」からの仕入れ単価を基に原価管理しています。でも本来は、「味のやはた」が仕入れた原価を基にしてグループ全体で原価管理をすることがベストなんですね。そのためには製造と販売で別々になっているシステムを統合する必要があります。サーバの老朽化と消費税軽減税率対応が必要となったタイミングで検討することにしました。ただ、折悪しくコロナの影響もあり、すべてを一度に更新することが難しい状況だったので、段階的に対応することにしました。まずは「特注管理システム」をリニューアルして『少しでも効率を上げよう』というところから始めました。
-まずは販売側の業務効率化に着目されたわけですね。どのような課題がありましたか?-
課題2:入金処理の簡素化
入金処理に手間がかかっていました。伝票を1 枚ずつチェックして、システムで消し込んでいたのです。1年のうちでもおせちと恵方巻の注文が多いのですが、入金処理はおせちの分で1ヶ月かかり、それが終わったころから恵方巻の分で1ヶ月かかっていました。そのような状況でしたので、繁忙期は入金処理が後追いになっていました。特に恵方巻は製造計画こそありますが、お客様がどれだけ注文されるかは未知数で、注文があれば作る、というスタンスです。単価が数百円ということもあってお客様の数が多くなるので、その分入金処理にも時間がかかっていました。
課題3:実績に基づく製造計画の適正化
「味のやはた」は、日勤者と夜勤者で工場が動いています。日勤・夜勤のどちらに仕込み作業を割り当てるのかを、「数量」ベースの製造実績に基づき判断していましたが、そこに手間がかかっていました。仕上がった製造品の「数量」を時間帯ごとに手作業で拾い上げ、「数量」の多い時間帯を把握し、仕込みの時間帯を逆算する、といった具合です。
「3つの課題」を解決する 「販売管理システム」
-販売管理システム更新の決め手を教えてください-
サーバの老朽化対応や消費税軽減税率の対応も必要となり、2019年4月にHCSさんから段階的なシステムリニューアルのご提案をいただきました。コロナの影響や予算の都合で一度にすべてをリニューアルすることは難しかったので、投資計画にあわせ配慮してもらいました。第1ステップで長年利用している「特注管理システム」をリニューアルし、その他の製造システムは継続利用できるよう新サーバへ移行します。第2ステップで製造システムもリニューアルすることですべてのシステムが同一の仕組み上で稼働させることができるようになり、別々の仕組みだったことで発生していた「マスタの二重管理」や「伝票の二重入力」が解消される、というご説明でした。HCSさんには従来のシステム導入サポート面で信頼しており、ご提案いただいた内容で進めることにしました。
導入効果・メリット
-販売管理システム更新でどのような効果が得られましたか?-
効果1:「販売」の改善で理想への第一歩
サーバ老朽化や軽減税率の運用開始による対応がメインだったので、基本機能は旧システムの踏襲でした。そんな中で、販売管理業務に伴う事務作業が効率化できるよう配慮しました。理想形の実現には「システムの統合」が必要ですが、入金処理の改善など販売側の業務改善が進んだと思います。
-事務作業の効率化にはこだわられたようですが、どのように改善されたのでしょうか?-
効果2:入金処理時間を約40%削減
入金処理の対象となる未入金の売上伝票を選択し、一括で入金データを作成する機能を追加しました。以前は売上伝票ごとに入力していましたが一括で入力できるようになり、入金処理にかかっていた時間を約40% 削減できました。すごく助かっています。
-ほかにも、いろいろな切り口でデータを分析できる機能を追加されたそうですが、どのように活用されていますか?-
効果3:製造実績データ分析による現場改善
製造計画の判断材料として製造実績の「数量」を見ていたところを「金額」で見るようになりました。現場からの「金額ベースで見られる方が判断しやすい」という意見を取り入れた結果、売上を意識した判断ができるようになったことは大きいですね。
今後の展望
-今回は製造と販売のシステム統合による業務改善に向けた取り組みについてお話をお聞きしましたが、今後の展望をお聞かせください-
グループ内で情報を一元化したいですね。「味のやはた」が管理している仕入先を含めた法人顧客情報は「八幡」とは共有できていません。「味のやはた」の担当者がいない時に「八幡」の者がお客様対応できない、という課題があります。また、「八幡」の顧客情報はシステムとは別に管理している部分があり、すべてが共有されているわけではありません。同じように原価も「八幡」と「味のやはた」が別々に管理している状況なので、システムを統合することで一元管理できればと思っています。
また、お客様情報がしっかり管理できるようになったら、LINEを活用してお客様情報に応じたキャンペーン・イベント情報などをタイムリーにお知らせしたいです。
-インタビューにご協力いただきありがとうございました-
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