CRMとは?CRMの必要性、導入のメリット・デメリット、うまく使うためのポイントを解説!

CRMとは?CRMの必要性、導入のメリット・デメリット、うまく使うためのポイントを解説!

公開日:2022.03.31

 CRMとは、『Customer Relationship Management』の略で、顧客関係管理の意味です。単に顧客管理という場合もあります。また、広義には「顧客に適切な対応をとり顧客との良好な関係を構築・維持・促進すること」を、狭義には「顧客関係管理を行うためのITツール」を意味します。CRMツールを使うことで効率的で適切な顧客管理を促進できるため、多くの企業・自治体で導入が進んでいます。

 この記事では、CRMとは何か、何ができるのか、うまく使うためのポイントについてご紹介します。

1.CRMとは

CRMには、先に述べたように、広義・狭義の二つの意味があります。

(1)広義の意味:顧客に適切な対応をとり顧客との良好な関係を構築・維持・促進すること

 CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係性をマネージメントする、すなわち顧客管理のことを意味します。顧客情報や行動履歴情報(購入・アプローチ・問合せなど)を集約して、個々の顧客に対して適切な対応を行い、顧客との良好な関係を構築し維持・促進することを意味します。

(2)狭義の意味:顧客関係管理を行うためのITツール

 CRMは、狭義には顧客管理を行うITツールを意味します。企業の規模が大きくなるほど、顧客の数が増えるため、広義のCRMを行うために、すべての情報を手作業で管理・分析することは困難になります。そんな時に役立つのがCRMツールです。

2.CRMの必要性

 多くの企業・自治体で、CRMの導入が進んでいますが、なぜ、必要なのでしょうか。多くの業種・業界で市場が飽和状態にあること、変化が速く、多様化する顧客ニーズに対応する顧客志向のビジネス・業務遂行が必要になっていることが要因です。

(1)消費動向の変化への対応

 以前は高品質な商品・サービス(以下“商品”と記載)を提供することで、他社との差別化を図り、シェアを獲得することも可能でした。しかし、現在は、消費者が商品自体だけでなく、体験価値を重視するようになっています。また、デジタル・ネイティブに象徴されるように、簡単に情報の発信・収集ができるようになり、消費者ニーズの多様化につながっています。
 
 その結果、顧客は簡単に離れてしまうので、顧客と良好な関係を築き他社に流出してしまわないよう、個々の顧客との関係維持の重要性が高くなっています。

(2)効率化とコスト削減

 先に述べたとおり、会社が大きくなるほど、顧客管理は難しくなります。顧客情報や行動履歴情報をすべて手作業で分析するのは、莫大な時間がかかるだけでなく、入力間違いや手違いによる判断ミスにつながります。

 これは効率が悪いだけでなく、余計な人件費や、対応の遅れによる顧客の流出など、損失につながります。そのため、データの正確性の維持や分析・情報管理が行えるCRMツールが有効になります。

(3)顧客生涯価値(Life Time Value)の向上

 一般的に、新規の顧客獲得には既存顧客の約5倍の販売コストがかかると言われています。商品が多様化・増加する中で新規の顧客を獲得するのは容易ではありません。その中で利益を出すために、企業側は、既存顧客と今まで以上の良好な関係を構築・維持・促進し、顧客それぞれが自社にもたらす価値である顧客生涯価値の向上に注力する必要があります。

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3.CRMとMA、SFAとの違い

 CRMと関連する言葉に、MA、SFAがあります。一連の営業活動に関連する言葉ですが、混同されやすく、それぞれの違いについて認識することが大事です。

(1)MA:見込顧客を育てる

 MA(Marketing Information)とは、マーケティング活動の業務自動化を支援し、生産性向上につなげるITツールを指します。商品を購入してもらうためには、見込顧客に対して有益な情報を提供して自社に対する信頼を高め、関心を持ってもらうことが大事です。

(2)SFA:育てた見込顧客を商品購入へと誘導する

 SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を支援するITツールを指します。見込顧客の情報や反応・状況など、商談成立までの営業活動に必要な情報を共有できるツールです。

(3)CRM:顧客と良好な関係を築く

 商品を購入してくれた顧客と良好な関係を築き、優良顧客化するツールです。顧客生涯価値を最大化することが目的になります。

4.CRMの基本機能(何ができる?)

 CRMシステムは顧客の行動履歴を管理し、その情報をもとに「顧客との関係性を維持・促進する」機能があり、主な機能は以下のとおりです。

(1)顧客の情報管理

 顧客の氏名・住所・年齢・性別などの基本情報や、購入日・購入金額などの購入実績などの商品情報を管理します。この機能は、CRMがツールとして機能するための土台となります。

(2)会員管理

 会員の情報を一元化し、会員サービスの運用コストや情報漏洩のリスクを削減します。メール機能と連動させ、販売促進活動からマーケティング分析まで会員情報を有効活用することができます。

(3)メール配信

 顧客をグルーピングしてメールの配信を行います。開封率が把握できるので、メール配信を行うのに適切な時間帯・件名・文章・対象者などを、比較検証できます。

(4)購入・問い合わせ管理

 顧客毎の購入・問い合わせ内容の履歴が把握できるので、問い合わせへの対応漏れや二重対応など、対応の不適切さを防ぐことができます。また、問い合わせが多い内容に対してはFAQを設けるなど、問い合わせに対応する負荷を逓減できます。

(5)アンケート実施

 アンケートは顧客の声を直接集約できるツールです。アンケートを作成し、その結果を分析し、顧客情報を抽出することでターゲットの絞込ができます。

(6)ファイル共有

 メールに添付されたデータをファイル共有機能により関係者で共有ができます。データをCRMツール内のみで共有するので、情報漏洩などの防止につながります。

(7)検索

 利用者が入力した特定の条件に該当する顧客情報を検索することができます。CRMツールによっては、検索結果を表計算ソフトなどで利用できるものもあります。

5.CRMのタイプと使い方

 CRMツールは多くの種類があり、先に紹介したように機能も豊富です。CRMツールを大きく3つのタイプに分けて考えてみます。

(1)営業支援タイプ

 営業担当者の活動支援がメインのタイプです。このタイプは商談状況がリアルタイムで把握でき、自社の経営状況の判断に活用できます。また、停滞している商談を見つけ、営業活動内容や商談方針の見直しにつなげます。

 

 営業活動は営業担当者だけでなく、関連する部門間との連携が必要です。関係者・関係する部門が増えるほど、対応が食い違うことなどのトラブルが起こりやすくなります。しかしCRMを導入し、情報を一元化することで、関係者が連携しやすい環境作りにつながります。

(2)コールセンタータイプ

 顧客からの商品に関する電話やメールでの行動履歴(購入・問い合わせ)を蓄積するタイプです。

 

 購入申込・問い合わせなどの電話がかかってくるコールセンターでは、スムーズな応対が何より求められます。そこでCRMから、購入履歴などの顧客情報を自動表示するなど、スムーズな応対をとることが、顧客の満足度向上になり、優良顧客化につながります。

(3)マーケティング支援タイプ

 定期的なメール発信やアンケート送付、SNSでの情報発信管理など作業の多いマーケティング業務を支援するタイプです。

 

 先に述べたように、新規顧客開拓が厳しい状況では、アップセル、クロスセルという考え方が一般化しています。アップセルとは顧客に、普段購入している商品よりもグレードの高い商品を購入してもらうことです。そしてクロスセルは、顧客が普段購入する商品に合わせて、他の商品を購入してもらうことです。どちらも顧客単価を上げ、顧客生涯価値の向上を目的としています。

 

 顧客の購入履歴などを分析することで、それぞれの顧客に、最も有効な施策を実施できます。

6.CRMシステムの選択

 CRMシステムには多くのITツールがあり、どのような点を重点に選択すべきか、4つの視点で考えてみます。

(1)導入目的・課題に対応しているか

 例えば「営業担当者が個人で顧客情報を管理して部署全体で共有できていない」「計画的なフォローができていない」という課題を抱えている場合、SFA機能を搭載したCRMツールを選択します。あるいは、「名刺を一元管理できておらず顧客の掘り起こしができない」「人脈が有効活用できない」のであれば、名刺管理機能を搭載したCRMツールを選択します。

 このように課題を解決し、導入目的を達成できるITツールを選ぶことが重要です。

(2)利用シーンに適応できる提供形態か

 CRMツールの提供形態には、オンプレミス型とクラウド型があります。

社外での利用が多い場合、スマートフォンやアプリに対応しているクラウド型を選択します。営業担当者が名刺を受け取ったタイミングで顧客情報を登録できますし、訪問営業時に顧客情報をもとに商談推進ができます。

 反対に、社内での利用を想定している場合は、オンプレミス型でも問題ありません。いずれにしろ、顧客情報管理においてはセキュリティ対策が重要です。

(3)ベンダーのサポート内容は十分か

 ITツールのベンダーのサポート内容も重要です。導入に伴い、運用手順や操作方法がわからないと、従業員の負担となるだけでなく、業務に支障をきたします。また、システムエラーなどのトラブルが起こる可能性もあります。そのような時に、スピーディーな対応があれば安心です。

 ベンダーによってサポート内容は異なるため、詳細を確認しておくことが大事です。

(4)トータルで見た価格は妥当か

 ITツールによって価格も大きく異なります。クラウド型だと1ユーザーあたり月額1,000円~4万円程度ですが、オンプレミス型だと5〜10万円程度です。さらに初期費用、機能追加費用やサポート費用もかかりますので、利用期間や利用人数を考慮し、例えば5年間のトータルでいくらになるのかを試算し比較します。

7.CRMシステム導入のメリット

 CRMツールには、どのようなメリットがあるのでしょうか。CRMツール導入のメリットは主に以下の6点です。

(1)顧客情報を一元管理できる

 関る担当者が同じ情報をもとに行動できるため、担当者による対応の食い違いが防止できます。

(2)部署間の情報共有が簡単になる

 営業部門だけでなく、社内の他部門でも活用できる可能性がひろがります。また、それにより違う視点でのアプローチも可能になります。

(3)優良顧客に育てる

 顧客情報を顧客属性・購入実績などにより集約・分析できます。その結果をふまえ、個々の顧客に最適なタイミングで商品を提供して、顧客と良好な関係を構築・維持・促進することで、顧客満足度が向上し、優良顧客になります。

(4)業務効率化を促進する

 CRMツールの機能を利用することで、表計算ソフトや他のツールを利用したり、手作業による作業が省力化できます。その分、本来すべき活動(結果をもとにした判断など)に時間を使えるようになります。

(5)新たな戦略を立案する

 顧客全体の傾向を分析することで新しいマーケティング戦略の立案につながります。

(6)顧客側のメリット

 顧客にとってもメリットがあります。例えば商品サイトに顧客個人の「マイページ」があり、そこで顧客の興味のある情報を受け取ることができれば、スムーズな商品選択が可能になります。

8.CRMツール導入のデメリット

 CRMツールにも、デメリットがあります。主に以下の2点です。

(1)CRMの導入にコストがかかる

 ツール自体の費用に加え、運用手順の整備や、使い方に関する社員教育などの時間がかかります。もちろん月額制のCRMツールを導入した場合は月額費用もかかります。

(2)CRMの運用が社内で定着しないことがある

 ツールの操作が難しい、マニュアルなどがない、そもそも目的・効果が理解されていなどの理由で、社内で定着しない場合もあります。

9.CRMツール導入の課題・事前準備

 CRMは日々の業務と密接な関係があります。したがって、導入前の準備が重要です。それが、先に述べた「デメリット」の防止になります。

(1)目的を決める

 顧客管理と言っても、その目的はいろいろです。目的を曖昧にしたままCRMツールを導入すると、「思っていたのと違う」となり、最終的には誰も使わなくなります。意図したとおり活用されるためにも、導入目的を明確にします。

(2)必要な機能を決める

 目的が決まったら、それを実現するために必要な機能を決めます。 この時、大事になるのが、欲張りすぎて機能過多にならないことです。不必要な機能はコストの無駄にしかなりません。

 機能決定は、目的と照らし合わせながら、機能を選定し、運用手順にどう組み込むかを決めます。その際、実際にツールを利用する関係者へ説明をし、利用頻度や代替手段の有無など、問題はないか、過不足がないかを確認します。

(3)ツールを選定する

 必要な機能を決定したら、ツールを選定します。選定するポイントの一つに、すでに業務で活用している他のツールとの連携可否があります。連携ができないと、データの二重入力などの負担が増えます。

 また、カスタマイズができるのか、できないのか。できる場合でも、その費用や、導入・運用にかかるコストを考慮した上で決めることが重要です。

(4)導入後の評価指標を決める

 CRMツールの導入効果を把握するために、評価指標を決めておきます。評価指標には、顧客獲得率、リピート率、顧客満足度、顧客単価などがあります。また、最近は、体験価値(CX)が重要視されており、それを測る指標の一つとしてNPSがあります。NPSは、その商品をどれだけ知人に勧めるかを計測し、商品・企業へのロイヤリティを測る指標です。

 初めに決めた目的に相応しい指標を選んで設定することで、CRMツール導入の効果を測りやすくなります。

10.CRMツール導入の注意点

 CRMツールの導入にあたり、下記の3点に注意しましょう。

(1)単なる顧客のデータベースになる

 利用しきれずに顧客情報が入力されただけのデータベースとなることです。CRMツールのメリットは顧客情報を分析し、優良顧客を把握することです。しかし、この分析結果を十分に活用できなければ、コストをかけてCRMツールを導入する意味はありません。

 原因は、導入の目的・活用の方法が曖昧でツールの選択が誤っていたことです。

(2)トップダウンで導入し誰も使わない

 経営層の独断で導入した結果、実際に使用する営業担当者にとって効果が薄く、最終的に誰も使わなくなってしまうことです。目的・効果が曖昧なまま導入しても、負担感だけが先にたち使わないことがあります。現場の理解を得てから導入することが大事です。

 そのために、導入目的と戦略、得られる効果を説明し、理解してもらいます。

(3)効果が出るまで時間がかかる

 導入して効果が出るまで時間がかかります。結果を分析して次のプロセス改善に活かす取組を継続することが大事です。


 先に述べたように、目的は顧客情報を分析して顧客ニーズに合った商品を提供し、顧客満足度を高めて「優良顧客」に育てることです。顧客との良好な関係を築けば、顧客生涯価値の向上も期待できるだけなく、商品への高い評価により販売増につながる可能性もあります。

11.ツール一覧

製品名

企業名

1

eセールスマネージャーRemix Cloud

ソフトブレーン株式会社

2

Knowledge Suite

ナレッジスイート株式会社

3

Sales Cloud

株式会社セールスフォース・ドットコム

4

Sansan

Sansan株式会社

5

Freshsales Suite

OrangeOne株式会社

6

Salesforce Essentials

株式会社セールスフォース・ドットコム

7

GEOCRM.com

ナレッジスイート株式会社

8

commmune

コミューン株式会社

9

kintone

サイボウズ株式会社

10

monday.com

OrangeOne株式会社

(出展:ITトレンド(上半期ランキング2021 CRM 資料請求数順))

 CRMのITツールの評価基準も、いろいろな視点がありますが、「ITトレンド(上半期ランキング2021 CRM 資料請求数順」をもとに、各ツールの特徴をまとめると、以下の7つになります。

 ① 顧客管理を行うための機能が、テンプレート(雛形)として用意されている。
 ② 名刺管理を基本とした機能に特化している。
 ③ 顧客ポータルサイトとした機能に特化している。
 ④ 管理する情報(項目)を任意に設定できる。
 ⑤ 地図情報(現在地-GPS)との連動。
 ⑥ 顧客管理の他、マーケティング(MA)、営業活動支援(SFA)まで含む。
 ⑦ 使用する機能を選択、追加しながらの運用ができる。

 この特徴のうち、①④⑦が上位1,2,3位の製品に共通しています。自社の現状、1年後、2年後の姿を想定しながら、無理なく導入し運用レベルを上げていくことが、よい結果につながります。

12.最後に

 CRMを導入から運用の初期段階において、以下の3点に注意しましょう。

(1)管理する項目数は、絞り込む

 顧客情報は、記録しやすく、利用しやすくすることが大事です。

 項目を決定する際は、「なぜこの項目が必要なのか」を具体的な活用例と合わせて考えることが大事です。「とりあえずこの項目も」という曖昧な理由で不要な項目を追加しないように注意します。

(2)項目は、誰が見てもわかるような入力形式にする

 個人が好きなように入力できるようにすると、必要な情報の取り出しが難しくなります。入力する必要があるものは項目を分けて入力ミスを防ぐこと、自由入力の項目については、テンプレートや入力例をわかるようにしておくことも大事です。

(3)顧客情報は、最新の状態にする

 顧客情報は、一度登録したまま放置してしまうと古くなり、事実と不整合が発生します。顧客の与信情報や住所は、定期的に見直すなどルールを作ります。

 顧客情報を最新に維持できれば、「◯◯地域の顧客にアプローチしよう」といった施策の精度も向上します。顧客管理する上で、情報の鮮度維持は優先度を上げ行うべきです。

 CRMシステムは、導入を考えること自体が、自社の業務の見直し、ひいては自社の顧客へのありかたの見直しにつながります。また、導入にあたっては、小さく始めて大きく育てる考え方で取組みましょう。

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