システム統合で進捗/在庫を簡単管理!迅速な対応でお客さまサービス強化
事例|製造業の生産管理業務の効率化方法とは?
公開日: 2025.02.03
HCSNewsLetter 第244号
取材協力
管理部 次長 西大輔 様
管理部管理課 課長代理 松井健人 様
管理部管理課 北岡真知子 様
株式会社広上製作所様について
[所在地]
富山県高岡市長慶寺920番地
[事業概要]
板金加工・プレス加工・各種溶接・組立、表面処理・塗装まで一貫生産する金属製品製造業。
複数のシステムにまたがる管理と複雑な派生システムの乱立に伴う、生産進捗確認や在庫確認の手間を改善するため、『ターコイズ販売管理システム』を導入。生産管理業務を効率化し、「情報の一元化と見える化」や「迅速な生産進捗の把握によるお客さまサービス向上」を実現できた事例をご紹介します。
- 課題
- (1)納期遵守のための生産進捗把握
(2)情報が乱立する複雑なシステムからの脱却
(3)在庫の適正化と棚卸作業の効率化
- 効果
- (1)現場への進捗確認作業が大幅削減!
(2)誰でも分かりやすいシステムで負担軽減
(3)リアルタイム在庫確認で業務効率UP!
目次
生産管理業務の最適化を実現するための「3つの課題」

管理部 次長 西 大輔 様
-検討のきっかけを教えてください-
システムを理解している担当者が高齢化し、属人化してきたことがきっかけです。
当社が使用していたシステムは、複数の自社構築派生システムが乱立しており、非効率な業務が多く発生。システムを理解している担当者も限られる中、今後担当者の退職時や引継ぎ時に苦労することが目に見えており、不安が募っていました。
さらに時代の流れとともに、今後は人材確保が難しくなることを懸念し、「管理から監視の状態にする」を目的に、まずは在庫管理が必要で最も作業状況の見える化が困難な第6工場から導入検討を始めました。
これまで、派生システムを多数作り、社員全員で頑張って運用していましたが、これは「管理」の状態に過ぎません。属人化解消やトラブル防止、お客さまサービス向上を達成するには、以前の「管理」の運用では難しくなってきました。これらを統合し、人手が少なくても運用でき、トラブル防止やサービス向上が実現できる「監視」の状態まで持っていきたいと考えました。
-どのような課題をお持ちでしたか?-
課題1:納期遵守のための生産進捗把握
当社のシステムは「規格品の管理」、「オーダー品の管理」、「代理店様用オーダー品の管理」と大きく3つに分かれていました。これらのシステムは連携しておらず、製品の生産進捗を一目で把握することができません。そのため、管理部門や現場作業員に負担がかかっていました。
「規格品」と「オーダー品」のシステムには実績入力機能がありますが、「代理店様用オーダー品」のシステムには実績入力機能がないため、管理が困難。
現場作業をする生産部の統括者4名とお客さま対応をする管理部担当者は、納期を守るためにすべての製品の生産進捗を把握する必要がありました。しかし、システム上で確認できるのは「規格品」と「オーダー品」のみ。「代理店様用オーダー品」は、現場に足を運んで作業員に状況確認をしたり、コンテナの数を目視でチェックしたりする必要があり一苦労でした。そのため、現場確認に時間がかかり、お客さまからの問い合わせに迅速に対応できず、お待たせしてしまうこともありました。また、「規格品」と「オーダー品」を同時に確認するには、複数のシステムを立ち上げる必要があり、手間と時間がかかっていましたね。
生産進捗の把握は、お客さまの納期や会社の信用にもかかわるので、進捗を把握できる環境を整えることは必須条件でした。
課題2:情報が乱立する複雑なシステムからの脱却
以前は、社員が自由に派生システムを作成できる環境だったので、細かいシステムが複数乱立し、時間の経過とともに複雑化していました。各システムは連携されておらず、情報が断片化していたため、データの入力や集計作業で二度手間や多くの時間を費やし、業務が非効率になっていました。
派生システムが生まれた原因は、同業他社の廃業です。垂直立ち上げのような業務請負が増加し、個々のお客さまの仕様に合わせた派生システムを都度作成し、次々に増加していきました。また専任担当者が退職後、「このままじゃだめだ」と感じた社員が個々の考えで担当を務めていました。そのため、各自が自由に派生システムを作成し、気づいたときには複雑で管理ができない状態に。
当時、派生システムを作成できる社員は複数おり、各自必要なタイミングや社員からの依頼に応じて随時システムを作成していたため、類似派生システムや全く使われていない派生システムが多数存在する状況に。その結果、「どの派生システムがどれだけあるか」管理できず、一元管理には程遠い状態でしたね。
ネット検索や当時の知識を基に作成していたので、例えば5年前に作成した派生システムを再利用する際は、「何がどこまでできるシステムなのか」1から解析する必要がありました。ドキュメントや設計書は記載していなかったので、作成した本人も解析に時間がかかり、どこを修正したら良いのかすぐに分からないことも。
他の担当者が作成した派生システムを操作する際、その作成者が休暇中だと、システムを理解している社員を事務所内で探し回り、実績確認や集計作業を行うことが頻繁にありました。システムを理解している社員がいない場合、出社するまで待たざるを得ず、翌日の出社日まで保留にすることも。その結果、投入指示が遅れて通常便の到着では納期に間に合わないこともありました。その場合、直接お客さまの現場に持ち込むなどの対応が必要になり、日常業務やお客さま対応がスムーズに行えず、非常に苦労していました。
また、データを誤って消してしまい2~3時間かけて修復するなどのトラブルや、急にシステムが動かなくなるトラブルが発生したこともありました。さらに、システム処理が複雑化したことで「生産指令書」の発行に長い時で、30分程度かかっていました。その間、作業に取り掛かれないのでムダな時間でしたね。
課題3:在庫の適正化と棚卸作業の効率化
在庫は現場作業員が出荷時に、ハンディで在庫棚のバーコードを読み取り管理しています。しかし、以前のシステムでは、仕掛中の在庫は生産完了が上がるまで在庫情報として表示されず、システムの在庫と実際の在庫に差異が生じ、リアルタイムで在庫状況を確認できませんでした。
システム内のデータと実在庫の差異を判断できるのは、システムを十分に理解している管理部の担当者2名のみ。それ以外の社員は、実在庫の状況を確認するために現場に行って目視で確認するか、その担当者2名にシステム内のデータ状況を確認する必要がありました。
このため、現場作業員や担当者には在庫確認の手間と負担がかかっていました。在庫確認は1日に数回行うため、この作業は確実に効率化したいと考えていましたね。
「3つの課題」を解決する「ターコイズ販売管理システム」
-採用の決め手を教えてください-
HCSさんの、柔軟な対応と熱意が決め手です。
以前からシステム導入でお世話になっていることもあり、親切な対応は評価していましたが、今回も複数の複雑な派生システムが乱立する中、当社の業務や運用を深く理解した上で、1から解析して対応してくれる姿勢が非常にありがたかったです。当社のニーズを汲み取り、システム導入の各ステップでも柔軟に対応してくれ、サポートが手厚い点も魅力です。
また、HCSさんの社員の皆さんは親身で、当社とのコミュニケーションを重視してくれました。初めの打ち合わせからシステムの導入、運用サポートまで迅速かつ丁寧で、当社の社長や担当者もすぐに心を開くことができ、安心してプロジェクトを進めることができました。
HCSさんはパッケージに無理に合わせることなく、当社独自の業務フローに対応したカスタマイズを行ってくれました。そのため大きな運用変更をせずにシステム刷新することができました。
-工夫された点を教えてください-
新たな取り組みとして、すべての製品の生産進捗状況をお客さま限定することなく共有可能にしました。
以前は、「オーダー品」のみ生産進捗状況を共有しており、「規格品」や「代理店様用オーダー品」は共有できませんでした。新システム導入後は「規格品」や「代理店様用オーダー品」も確認できるようにし、すべてのお客さまに生産進捗状況を共有できるようになりました。今までは県内のお客さまが多く、顔を合わせて会話し、随時コミュニケーションを取りながら進捗確認をすることができましたが、県外のお客さまも増え対応が困難に。そこで、当社は「生産進捗状況の見える化」という付加価値を提供し、県内・県外のお客さまにご満足いただけるサービスを目指しました。
「生産進捗状況の見える化」により、お客さまは当社に電話やメールで問い合わせることなく、自身のPCでいつでも自由に生産進捗状況を確認できるように。これにより、当社への確認作業で業務の手を止めることがなくなり、「進捗を知れると安心するし、仕事がしやすくなった!」などの声もいただいています。
導入効果・メリット
-取り組みの効果はいかがでしたか?-
効果1:現場への進捗確認作業が大幅削減!
導入直後は、長年使用していたシステムからの切り替えのため苦労しました。しかし、導入から4ヶ月ほどで作業が急速にスムーズになり、苦戦していた社員からも「作業が簡略化されて楽になった」、「対応がスムーズになった」といったポジティブな意見も聞こえてくるようになりました。少しずつ導入効果を実感し、思い切ってシステム刷新して良かったと思います。
3つのシステムをターコイズ販売管理システムに統合したことで、「代理店様用オーダー品」もシステムで生産進捗確認が可能に。以前は、実績入力機能がなかったですが、今回のシステム統合により「代理店様用オーダー品」にも実績入力の機能が追加され、現場に行かなくてもシステムで進捗確認ができるようになりました。
以前は、製品ごとの進捗を確認するために複数のシステムを立ち上げる必要がありましたが、1つのシステムを立ち上げるだけですべての製品の進捗が一目で確認可能に。これにより、管理部の担当者は自席PCで対象製品の状況を迅速に確認し、お客さまをお待たせすることなく納期や進捗の問い合わせに対応できるようになり、スムーズなお客さま対応を実現できています。
また、生産部、管理部ともにすべての製品の生産進捗を簡単に確認できるようになり、手間と時間を削減できました。その結果、生産性向上やお客さまサービス向上にも繋がってくると思います。
効果2:誰でも分かりやすいシステムで負担軽減
ターコイズ販売管理システムはシンプルな構成で、誰でも理解しやすく、以前のような複雑な状態から脱却できました。情報が一元化されたので、管理ができない煩雑な状態になることも防げています。
以前は、膨大なデータを処理し作成する「生産指令書」の発行に30分程度時間がかかっていましたが、今ではすぐに発行可能に。迅速な対応が可能になり、大きな効果を感じています。
さらに、「仕入実績」の入力機能を追加したことで、仕入状況を”誰でも、どこでも”確認可能になり、非常に便利です。以前は、購買部の担当者1名の机にある納品書をわざわざ確認しに行く必要がありましたが、今ではシステム上で仕入者、仕入日、入荷日、納品状況などをすぐに確認できるようになりました。
効果3:リアルタイム在庫確認で業務効率UP!
システムの在庫と実際の在庫が一致するようになったので、現場に実在庫を確認しに行く必要がなくなり、システム上でリアルタイムに確認できるようになりました。
また、システムが簡単で誰でも操作しやすくなったので、管理部の担当者に頼ることなく在庫確認が可能になり、社員の負担が軽減されましたね。
さらに、在庫に限らず1日の受注件数などもすぐに確認できるようになり、便利な部分も多いです。今後もシステムを活用し、さらなる導入効果を期待しています。
今後の展望
-今後、取り組みたいことをお聞かせください-
現在、10拠点のうち早急に対応が必要だった第6工場のみシステム導入を実施しました。今後は他の工場にもシステムを展開し、会社全体の業務効率化と生産状況の見える化を進めていきたいです。
さらに、新たにシステム化した生産計画機能や1日の生産量を設定し負荷状況を見える化し調整できる負荷調整機能をより理解し、活用できるようにしていきたいです。現状、機能としては実現できているものの、慣れるのに時間がかかり、十分に活用できていません。現状機能を理解して、最終的には日次や週次の集計を実現し、受注や売上を日次・週次単位で確認できるようにしたいですね。
システムに慣れ、使いこなせるようになることで、当社の売り上げ向上につなげていきたいと考えています。
-インタビューにご協力いただきありがとうございました-

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- 導入サービス:ターコイズ販売管理 V5 クラウド
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- 効果
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- 導入サービス:ターコイズ販売管理 V5 クラウド
- 課題
- (1)事務員の作業負荷軽減
(2)見積・売上入力の効率化
(3)顧客問い合わせ対応の迅速化
- 効果
- (1)事務員が定時で帰れるように
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(3)「煩雑な業務」を改善する意識の醸成