現場の残業時間を削減するための勤怠管理とは?
建設業が現場の勤怠管理を改善した事例
公開日: 2022.01.04
HCSNewsLetter 第207号
取材協力
総務部 樫尾 公隆 様
砺波工業株式会社様について
[所在地]
富山県砺波市中央町1-8
[事業概要]
98名
本社、高岡支店、富山支店、射水営業所、金沢営業所、上越営業所
(1)土木建築工事その他建設工事全般の請負、企画、測量、設計、施工、監理及びコンサルティング
(2)地域開発、都市再開発に関する調査、研究、評価、診断、企画、測量、設計、監理、技術指導その他総合的マネージメント(CM)
(3)土地の造成、住宅等建物の製造、建設及び不動産の売買、賃貸借、仲介、保守、管理及びメンテナンス
土木・建築の総合建設業である砺波工業株式会社様。建設業特有の「現場管理」の視点で、各現場の勤怠実績を正確に記録・管理できるようにし、働き方改革のきっかけとするために
(1)法規制や就業規則に沿った勤怠管理
(2)現場人員の適切で柔軟な配置
(3)勤怠管理の効率化
といった課題が発生。その課題をどのように解決し、どのような効果が得られたのか?その詳細をご紹介します。
- 課題
- (1)法規制や就業規則に沿った勤怠管理
(2)現場人員の適切で柔軟な配置
(3)勤怠管理の効率化
- 効果
- (1)勤務実態の見える化で意識に変化
(2)現場人員の適切な配置への一歩
(3)勤怠データ集計作業時間50%減
働き方改革のための「3つの課題」
総務部 樫尾 公隆 様
以前の勤怠管理は、紙の出勤簿を使った運用でした。出退勤時刻や残業・休日出勤などの勤怠実績をExcel書式に記入してから紙に印刷して、翌月5日までに各部の管理課に提出していました。土木部や建築部では勤怠実績を月末にまとめて1ヶ月分記入する習慣になっていました。また、残業や休日出勤の申請については書式もあったのですが、形骸化していました。このような運用だったので、月中に社員の勤務実態を把握しにくい状況でした。
課題1:法規制や就業規則に沿った勤怠管理
一番のきっかけは働き方改革でしたね。2019年4月に施行された改正労働基準法の「時間外労働の上限規制」は、建設業に5年間の猶予がありますが、社員の勤務実態をリアルタイムに把握できない状況だったので、『今のままではまずい』と思いました。早いうちに手を打って2024年4月の規制開始に備える必要があると考えました。さらに、法規制への対応は、紙での運用だと限界があったので、システムの導入は不可欠でした。
また、当社の就業規則は代休の有効期間や有休の取得単位などが一般的な企業と比較するとイレギュラーな部分が多いので、その点をシステムで管理できることがポイントでした。
課題2:現場人員の適切で柔軟な配置
現場では残業がなかなか減らない状況でした。土木部や建築部からは『各現場の状況をリアルタイムに把握できるようにしたい』との声がありました。紙の出勤簿だと、忙しい現場があっても月末にならないと実態が分からなくて、全体を把握できなかったのです。現場間では連絡を取り合いながら何とか忙しい現場の負荷を分散していたようですが、勤怠管理をシステム化することで、『現場作業の人員配置に関しても活用できないか?』と考えました。
課題3:勤怠管理の効率化
出勤簿は各部の管理課でチェックしたあと、総務部に集まってきていました。総務部では私を含め3名で分担して集計していました。社員毎の出勤表からExcelに転記し、別の人がダブルチェックしていました。集計が終わるまでに4、5日かかりましたので、どうしても時間と手間はかかっていたのかな、と思います。その後、集計したExcelデータを経理に渡して給与計算する流れです。
「3つの課題」を解決する「クラウド型勤怠管理システム」
■ 導入の決め手
検討当時は本社新社屋移転を控えていました。それをきっかけに社内システムを順番に見直していて、勤怠管理のシステム化にも取り組むことになりました。
いろいろな勤怠管理システムを調べましたが、当社が以前から利用している、HCSさんの給与システムとの親和性が高い点が一番の決め手でした。他社の勤怠管理システムだとデータ連携の部分でどうしてもカスタマイズが必要ですが『HCSのシステム同士であればデータ連携がスムーズだ』という説明を受けました。
また、改正法や当社の就業規則に準拠した運用が実現できることがシステム選定の条件だったので、いろいろなカスタマイズのご相談にも乗っていただけるということも決め手でしたね。
「3つの課題」を解決するためにどう活用しているか?活用シーンのご紹介
3つの課題を解決するため、砺波工業株式会社様では「クラウド型勤怠管理システム」を次のように活用されています。
1.柔軟な対応で運用にフィット
新しい現場が立ち上がると、そこに責任者と作業者が割り当てられます。勤怠管理システムでも同様に現場単位の「組織」を作成し、責任者と作業者を割り当てます。現場が終わって新しい現場が立ち上がると、その現場の「組織」をその都度作成する、ということです。「組織」は、総務部が現場に確認して作成しています。これは、建設業界特有の運用だと思いますが、現場単位で管理しやすいよう検討し、対応していただきました。
当社の就業規則は一般的な企業とは異なる部分が多く、例えば「代休の有効期間」や「有休の取得単位」が特殊なのですが、その点も対応していただきました。
2.残業の上限規制チェック
「時間外労働の上限規制」に対しては、単月や年間、2~6ヶ月平均の上限規制に対してしきい値が設定できるので、上限に到達する前にアラートで知らせてくれます。
3.スマホを使ったタイムリーな勤怠実績登録
現場作業者の社員がかんたんに勤怠実績を登録できるよう、スマホで登録しています。スマホは以前から全社員に貸与していたのでそれを使っていますが、シンプルな画面でとても使いやすいです。
PCでの勤怠管理システム利用
導入効果・メリット
スマホを使って打刻・申請
効果1:勤務実態の見える化で意識に変化
特に現場作業者の社員は、勤怠実績を月末にまとめて1ヶ月分記入していたので、記憶があいまいな可能性がありましたが、スマホでタイムリーに勤怠実績を登録するので、正しく記録できるようになりました。そのおかげで、残業や休日出勤の実態がすぐに見られるようになりました。各部門長も意識して勤怠実績を見るようになり、部会でも取り上げるようになりました。『ムダな残業を減らすためにはどうすればよいか?』と考えるきっかけになったようです。建築部では毎週水曜日にノー残業デーの取り組みを始めました。
有休の取得率は上がりましたね。義務になっている年5日の有休取得も、昨年12月の5割から、今年は7割近くに上がっています。以前は有休届に上長のハンコをもらって管理課に提出していましたが、システム上での手続きになって紙の時より申請しやすくなったのだと思います。
効果2:現場人員の適切で柔軟な配置への一歩
各現場の勤務実態を全社でリアルタイムに共有できるようになりました。忙しい現場の応援も必ずできるとは限りませんが、大変な状況に対する気配りなど、以前よりコミュニケーションが改善されたと思います。また、残業が多い現場に注目して、その原因を分析するきっかけにもなっていると思います。
効果3:勤怠データ集計作業時間50%減
総務部の勤怠データ集計時間が短縮できました。以前は代休や有給の残や取得状況も全部目で見て、集計していましたが、それもシステムがやってくれるのでありがたいですね。給与システム連携前のExcel編集処理が多少残りますが、それでも4~5日かかっていた作業日数が、2日は減りました。
代休や有休も各自がシステムで確認できるので、総務部への問い合わせは完全になくなりました。
同じ課題を持つ皆様へひと言
勤怠管理をシステム化して、今まで見えていなかった勤務実態が見えるようになったことで、変わらなければいけないという雰囲気になりました。『残業を減らすためにどう効率化できるか?』を考えるきっかけにして、みんなが健康で楽しく仕事ができるようになればよいですよね。
建設業では規制まで2年猶予がありますが、導入がゴールではなく、当社もようやく実態が見えてきたところです。未対応でしたら今すぐ取り組まれることをおすすめします。
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- 課題
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(2)メール利用時の情報漏洩対策
(3)データ保管に対する災害への備え
- 効果
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