月間「作業60時間」「紙1,200枚」削減、現場の帳票を電子化する方法とは?

製造現場のペーパーレス化で業務効率UP、タブレットを活用した帳票電子化の成功事例

公開日: 2024.04.01

HCSNewsLetter 第234号

取材協力

保安部 兼 ISO 担当
富山総合ガスセンター製造課
副センター長 宮林 亮輔 様

サカヰ産業株式会社様について

[所在地]
本社:富山県富山市桜橋通り5番6号、富山総合ガスセンター:富山県富山市高木2481-6

[事業概要]
高圧ガス、医療ガス、ガス関連設備の販売および技術サービスの提供

サカヰ産業株式会社様 Webサイト

SDGs宣言をきっかけに、高圧ガス充填ラインのペーパーレス化と業務効率化に着目。トライアルの中で業務運用イメージを掴み、納得の形でサービス利用を決定された「TQ-Reporter」による帳票電子化の成功事例をご紹介いたします。

課題
(1)検査表のペーパーレス化
(2)手間のかかる手書き記録の効率化
(3)過去に記録した情報の探索速度向上
効果
(1)検査表電子化で1日約60枚の紙を削減
(2)記録作業が1人当たり30分/日削減
(3)過去の記録がいつどこでも検索可能に

目次

帳票の記録・管理方法を改善するための「3つの課題」

富山総合ガスセンター製造課 副センター長 宮林 亮輔 様

-検討のきっかけを教えてください-

 2022年10月に、当社がSDGs宣言したことがきっかけです。

 

 当社の具体的な取り組みとして、環境負荷低減や働きやすい職場環境づくりに向けた「ペーパーレス化」「業務効率化」があります。

-どのような課題をお持ちでしたか?-
課題1:検査表のペーパーレス化

 

 当社が取り扱う高圧ガスは6つの製品群があり、製品群ごとにガス充填ラインがあります。各ラインでは大きく分けて3つの検査を行います。①空ボンベ受入検査②ガス充填時検査③出荷前最終検査です。検査ごとに3~4種類の検査表を使います。高圧ガス関連の検査表は、A4おもて1枚の様式が全部で約60種類。各ラインの担当者が毎日合計約60枚の検査表を印刷して記録していたので、月間だと約1,200枚の紙が発生していた計算になります。

 

 ISO9001規格に準拠した業務運用の中で、記録しなくてはいけないことが多くなり、紙の帳票が増え続ける状況だったので、いつか何とかしなくてはいけないと考えていました。

課題2:手間のかかる手書き記録の効率化

 担当者にとって、作業しながら検査表を書き上げるのが手間だったようで、一旦メモ書きしておいて、あとで清書する者もいました。検査で異常を発見した場合は、Excel台帳への転記も必要。作業終了後の転記作業に毎日約30分かかっていました。担当者が6名いるので、作業時間の合計は1日だと約3時間、月に換算すると約60時間になります。

 

 手書きだと、私が記載内容をチェックした時に何が書いてあるか分からないことがあり、担当者に聞きに行っていました。書いた本人が何と書いたかわからないこともありましたね。

課題3:過去に記録した情報の探索速度向上

 検査表は日付順にファイリングして書棚に保管していました。ISOで2年保管を定めており、毎日約60枚の紙が蓄積されることに。書棚はいっぱいになり、保管スペースがなくなってしまうほど。ボンベ出荷後にお客様から問い合わせを受けると、検査工程の記録を確認する必要があり、過去の検査表をペラペラとめくって対象のボンベを探さなくてはいけませんでした。問い合わせは年に数回の頻度でしたが、1日百数十本のボンベにガスを充填しているので、その中からボンベの記録を探し出すのは本当に大変でしたね。

「3つの課題」を解決する「TQ-Reporter」

-採用の決め手を教えてください-

 契約前に試用でき、運用イメージをつかめたことが決め手です。

 

 まずは2種類の検査表フォームを基にして、HCSさんにサンプルの電子帳票を作成してもらい、その後に私がフォームの編集をしたり種類を増やしたりしました。トライアルの中でHCSさんに相談しながら業務利用できるレベルまで環境構築し、これなら使えそうだと確認できたところで契約しました。

 

 以前、タブレットを利用した帳票電子化の同業他社事例を見たことがあったのですが、全国区の大手企業でしたので、莫大なお金がかかっているのだろうと思いました。そんな時にHCSさんから紹介してもらったのがTQ-Reporterだったのですが、思っていたほどの費用はかからないと知り、導入検討の後押しになりました。

-工夫された点を教えてください-

 HCSさんにも支援してもらい、検査表の入力支援機能をたくさん組み込むことができました。色んな機能がある中、特に便利だと思ったのがエラーチェック機能ですね。入力した数値が異常値ならメッセージ表示してくれます。その他、日付はカレンダをタップするだけで入力できるようにしたり、設備の稼働時間は開始時刻と終了時刻を入力すれば自動で計算されるようにしたり。作るのに時間はかかりましたね。

 

 担当者の年齢層は40~50代、普段の業務でパソコンを使うこともなかったので、まずはタブレットの使い方から覚えてもらいました。操作自体は簡単なので、特に抵抗なく現場に馴染みましたね。

 

 ガス充填ラインが6つあり、6人の担当者でローテーションしています。最初は担当者ごとにタブレットを配付して利用し始めましたが、ラインごとにタブレットを割り振って利用する方法に変更。各自がタブレットを持ち歩かなくてもよくなるよう、担当者が工夫してくれました。

ガス充填ラインでの検査結果入力の様子

導入効果・メリット

-取り組みの効果はいかがでしたか?-
効果1:検査表電子化で1日約60枚の紙を削減

 検査表はすべて電子化し、タブレットを使って入力するようになったので、毎日印刷していた約60枚分の紙をすべて削減できました。おかげで、増え続ける検査表が保管スペースを圧迫していく問題を、解消することができました。

効果2:記録作業が1人当たり30分/日削減

 担当者は、記録作業がかなり楽になったと言っていますよ。

 

 検査表への記入がタイムリーにできて、現場作業終了後の転記作業が不要に。検査で異常を発見した際は、その異常箇所をデジカメで撮影し、作業終了後に事務所でパソコンに画像を取り込んで加工し、報告書を作っていましたが、そんな作業も不要に。現場に1台しかないデジカメを共用していましたが、タブレットについているカメラで撮影でき、画像の加工も報告もその場で完結。紙のときは作業終了後に転記作業や報告書作成が必要で、私の手元に届くまで時間がかかりました。今は担当者の入力が終われば私に承認依頼の通知が届き、作業終了時点でチェックが可能。

 

 担当者による検査表の記入から管理者チェックまでの作業がシンプルかつスピーディーになりましたね。

効果3:過去の記録がいつどこでも検索可能に

 検査結果はタブレットで入力し、そのデータは即時サーバに送られ一元管理。以前は書棚にある膨大な量の紙の中から情報を探していましたが、今は情報検索時にもタブレットを活用。どこでもすぐに対象を特定できます。

今後の展望

-今後、取り組みたいことをお聞かせください-

 業務効率化で得られた時間をいかに有効活用するかが今後の課題です。また、製造ライン固定で使用中のタブレットを、今後はお客様先などに持ち出し、設備の保安点検業務にも活用予定です。

-インタビューにご協力いただきありがとうございました-

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