明日起こるかもしれない災害、業務継続に必要なITインフラ強化策とは?

業務システムのサーバをオンプレミス型から専用ホスティングへ移行したBCP対策の事例

公開日: 2024.03.01

HCSNewsLetter 第233号

取材協力

経営管理部 情報システムグループ
係長 四柳 隆弘 様

ウッドリンク株式会社様について

[所在地]
富山県射水市寺塚原415

[事業概要]
木材・建材・住宅設備の販売、国産材の製材

ウッドリンク株式会社様 Webサイト

 BCP 対策を目的に、自社設置型からホスティング利用へとサーバの利用形態を見直し。稼働数ヶ月後に能登半島地震が発生し、期せずして専用ホスティング利用による「安心」を体感された事例をご紹介いたします。

課題
(1)水害の心配がない環境へのサーバ移行
(2)「本社集約型」のボトルネック解消
(3)情シス担当者の属人化解消、負荷軽減
効果
(1)震災による業務影響はゼロ
(2)本社有事の際も他拠点は業務継続可に
(3)情シス担当者は新たな取り組みへ

目次

BCP対策を実現するための「3つの課題」

経営管理部 情報システムグループ 係長 四柳 隆弘 様

-検討のきっかけを教えてください-

 業務システムのサーバが更新時期を迎えたことがきっかけです。

 

 サーバは本社1階の鍵がかかる部屋に、ラックを置いて設置していました。床は耐荷重の補強がされ、エアコンは24時間稼働、サーバ室のようにしていました。サーバ更新にあたって、今までと同じように本社に設置するのか、せっかくのこの機会にBCP対策でデータセンターを利用するのか、ということで悩みました。

-どのような課題をお持ちでしたか?-
課題1:水害の心配がない環境へのサーバ移行

 本社はハザードマップ上、洪水時に3m浸水する地域です。サーバの設置場所が本社1 階だったので、洪水発生時にはサーバが水没してしまう恐れがありました。本社の駐車場が、雨水貯留池になっているのですが、過去には豪雨で雨水が集まり、1 階フロアが浸水してしまいそうになったことも。全国各地で頻繁に発生する豪雨被害のニュースを見聞きする中で、年々水害のリスクに対する意識が高まっていました。

 

 サーバを水害から守るために、本社2階に移設する案もあったのですが、場所が確保できず、床の補強工事などにも費用がかかってしまいます。現実的ではありません。BCPの観点からも、災害対策が万全なデータセンターを活用するのが得策と考えました。

課題2:「本社集約型」のボトルネック解消

 当社のサーバやネットワークは「本社集約型」だったので、もし本社が被災してハードウェアが故障したら、全拠点の業務に影響が出てしまうことになりかねませんでした。そこで、まずはネットワークの対応を実施。本社を基点ではなく一拠点とする構成に変更、幹線を異なるキャリア2系統で冗長化しました。ただ、その時点では業務システムのサーバがまだ本社にあったので、業務視点だと本社集約型のままだった、ということです。

 

 もう一つ、背景として付け加えると、会社が大きくなっているということもあります。社員や拠点が増えたので、企業の規模に合わせたITインフラの見直しが必要な状況でした。

課題3:情シス担当者の属人化解消、負荷軽減

 本社設置のサーバを情シス2名で運用していましたが、うち1名が在宅勤務に。そのため、サーバの不具合や社員からの問い合わせなどは私一人で対応、「ひとり情シス」状態でした。情報システムグループは、IT機器以外の社内機器全般のメンテナンスなど雑務的な作業も抱えているので、負担に感じていましたね。

「3つの課題」を解決する、剱データセンターの「専用ホスティング」※

※ホスティング:プロバイダなどが保有するサーバを、ネットワーク経由で貸し出すサービス。1 台のサーバを1社で占有する利用形態を「専用ホスティング」という。

-採用の決め手を教えてください-

 HCS さんは地場に密着していて、安心してお任せできると感じたことが決め手です。

 

 全国区の大手さんも候補でしたが、運用サポート面の小回りが利かず、当社に負担が残ると感じました。HCSさんはすぐに相談に乗ってくれますし、対応も柔軟。剱データセンター内部を見学のうえ決定できるので、非常に安心でした。

 私自身、HCSさんの元社員だったので、知っているところに業務サーバを預けられる安心感がありました。私が剱データセンターのことを理解していたので、社内でもそれなら大丈夫と判断してくれました。

 

 ただ、サーバを本社に設置しておくことでどのようなリスクがあるのか、改めて社内説明はしっかり行いました。

①サーバが水没するとハードウェアが故障する

②システムが使えなくなるので業務は手作業でやらなければいけなくなる

③サーバの修理あるいは新品の手配にどれだけ期間がかかるかわからない

④結果、手作業の期間が長くなるほどビジネスへの影響が大きくなる

ということです。

-工夫された点を教えてください-

 当社拠点とデータセンター間の通信で遅延が生じないか、という懸念があったため、レスポンステストを入念に行いました。サーバストレージにSSDを採用、処理速度の向上で、以前と同等以上のレベルを確保。業務上支障がないことを前もって確認でき、安心して切り替えできました。

 

 また、サーバ更新に合わせて、業務システムのソフトやミドルウェアの更新が必要になりました。その際、メモリやディスクが以前と同じサイジングでは足りないとわかっていたので、HCSさんに相談。将来の使い方もお伝えした上で適切にサイジングしていただき助かりました。

 

 以前の業務システムは、物理サーバ3台でアプリケーションやデータベースなどの役割を分散していましたが、専用ホスティングでは仮想化により物理サーバ1台に集約。さらに物理サーバをもう1台利用し、本番機と予備機の冗長構成に。費用対効果を考え、コールドスタンバイ※方式を採用しました。

 

※コールドスタンバイ:サーバやネットワーク機器などに関して、全く同じ構成の予備機を電源を入れない状態で待機させておく障害対策の手法の一つ

導入効果・メリット

-取り組みの効果はいかがでしたか?-

 サーバ更新による変化を現場に感じさせず、意識させることがなかったので、ITインフラの移行としてはベストな結果でしたね。

効果1:震災による業務影響はゼロ

 水害のリスク回避が目的でしたが、1月に能登半島地震が発生。サーバはHCSさんにお任せなので、不安はありませんでした。業務システムが正常に稼働していることは遠隔で確認できたので、サーバ運用面での負担軽減を実感しましたね。社内でも、サーバを移行しておいてよかった、という声が聞かれました。

効果2:本社有事の際も他拠点は業務継続可に

 データセンターにサーバがあるので、本社が被災しても他拠点の業務には影響を与えない環境になりました。データセンターは災害対策が万全なので、安心です。また、仮にサーバの本番機でハードウェアトラブルが発生したとしても、予備機があるのでバックアップデータの復元と多少のデータ再入力で業務は継続可能です。

効果3:情シス担当者は新たな取り組みへ

 業務システムのサーバが本社からなくなり、サーバの面倒を見る必要がなくなりました。

 

 一度サーバのトラブルが発生すると、対応に半日近くかかってしまいましたが、サーバの保守運用はHCSさんにお任せできるので、その心配はありません。

 2023年9月の本稼働後、社員からのサーバに関する問い合わせはなし。HCSさんの専用ホスティングはサポート体制が万全ですが、トラブルがないので連絡したことがありません。

 

 IT関連以外の作業も抱える中で、負荷軽減の効果を実感しています。おかげで、新たな取り組みへ時間を充てられるようになりました。

今後の展望

-今後、取り組みたいことをお聞かせください-

 業務システムサーバの専用ホスティング移管がうまくいったので、第2弾としてActiveDirectoryサーバの専用ホスティング移管を予定しています。これで、完全に本社からサーバをなくすことができます。

 

 サーバ運用保守を外部に移管したことで情シスの手間が減り、時間が出来ました。その時間を、生成AIの活用法検討に充てています。今は、ビジネス文書やプログラムの作成、Excel データの分析などを通し、何ができる/できないかを検証中の段階です。

 業務で分からないことがあって、誰かに聞きたくても聞けない/聞きづらい状況があると思います。そのような理由で業務効率が落ちるのはもったないので、そのような状況をなくすだけで無駄がなくなり効率が上がると思います。生成AIがその補助になればよい、と当社社長は考えています。

 いずれは、全社の情報を集約したポータルサイトを作成し、チャットに問い合わせれば何でも答えてくれる、そんな環境を構築したいですね。

-インタビューにご協力いただきありがとうございました-

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