帳票を電子化して分散した情報を一元化~チーム医療の高度化への第一歩~
電子カルテの導入事例「チーム医療の高度化に向け、分散した医療データを一元管理」
公開日: 2021.09.01
HCSNewsLetter 第203号
取材協力
副院長・ 看護部長 荒井 順子 様
事務長 神保 元 様
医療法人社団弘仁会 魚津緑ヶ丘病院様について
[所在地]
富山県魚津市
[事業概要]
診療科目は精神科、心療内科、老年精神科、老年心療内科、内科。精神療養/老人性認知症疾患治療/精神科一般の3つの病棟を有する。認知症疾患医療センターを中心に、地域の認知症治療に取り組む。
患者様へ、より高いレベルのチーム医療をご提供することを目標に、その第一歩として電子カルテを導入し、運用の定着に成功した事例をご紹介します。
- 課題
- (1)各職種間の情報共有を円滑にしたい
(2)病棟ごとに異なる看護過程の標準化
(3)紙カルテの保管場所不足解消
- 効果
- (1)院内に点在する患者様データを一元化
(2)3病棟の業務洗い出し~標準化に成功
(3)75%の紙帳票を電子化し保管場所削減
お客様の声
院内に潜む紙カルテ運用の問題点
病院では医師や看護師の他、様々な職種の職員が患者様に関わります。各職種は、カルテ記録・看護記録・各種検査記録や作業療法記録等、様々な書類を作成します。それらの書類は、部署ごとに分散して保管していました。また過去から蓄積した膨大なカルテの中から当該患者様の紙カルテを探し診療に備えることがとても大変でした。
あと戻りはできないという「覚悟」
理事長の提案で電子カルテ導入の検討を始めました。患者様のメリットや業務効率化など導入効果の整理から始まり、HCSさんから当院に合ったご提案を受け、導入が決まりました。電子カルテ導入は業務運用が変わる大改革です。やると決めたからには、あと戻りはできない覚悟で臨みました。パソコンが不慣れな職員から不安の声がありましたので、操作説明会や業務シミュレーションを何度も入念に行いました。また、パソコンでの操作内容が実業務とどう関係するか困惑する職員に対しては、抵抗感につながらないよう、看護部長を中心に電子カルテ推進者が丁寧にフォローしました。各職員の努力もあり、現在は全員が円滑に使用しています。
電子カルテが診療のハブとなる
院内で利用する帳票類を精査したところ約200帳票あり、その過程で病棟間で一部業務に違いがあることが判明しました。業務を見直して標準化し、最終的に約150帳票にまとめた上で、電子カルテに集約しました。院内に点在していた情報は一元化され、今は患者様の情報をパソコンで簡単に閲覧することができます。共通の情報を介した職種間の情報共有や判断が迅速かつ的確になりました。病棟での申し送りに約20分かけていた部署が、各自で電子カルテを閲覧するように運用を変更したことで、申し送り廃止の方向へ進みました。
新たな付加価値の創造へ
2020 年12 月に運用を開始し、患者様のデータをシステムに蓄積し始めたところですが、今後はこのデータを分析し、いかに患者様に還元するかが課題です。
同じお悩みを持つ皆様へひと言
大きな変化を伴う業務改善の定着には、現場の方の理解が必要です。何ができるようになるのか事細かに伝える事ができれば理解してもらえますし、定着すると思います。推進者の熱意が一番大切です。
貴重なお話、ありがとうございました
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