剱データセンター移行でコスト2割減!インフラ更新 / 強化で安心な運用環境へ
事例|製造業 / 建設業におけるインフラ基盤の更新方法とは?
公開日: 2025.09.01
HCSNewsLetter 第251号
取材協力
技術開発・ DX 推進部
部長 野原 徳博 様
部長代理 覚地 英徳 様
牧野 寛子 様
佐藤鉄工株式会社様について
[所在地]
富山県中新川郡立山町鉾木220番地
[事業概要]
水門 / 鉄管事業、橋梁事業、鋼構造物事業、環境関連事業の設計 / 製作 / 施工 / 調査 / 修繕工事業務
“1人情シス”体制による業務負荷や高騰する運用コスト、災害 / セキュリティリスクへの不安を受け、インフラ基盤の見直しを検討。剱データセンターへのサーバ移行により、設備最適化や業務効率化、セキュリティ強化でコスト2割減を実現し、安心 / 安全な運用環境と、充実した保守やサービスを実感された導入事例をご紹介します。
- 課題
- (1) “1人情シス”の負担を減らすベンダー選定
(2)コスト高騰への対応と自社運用からの脱却
(3)震災 / 水害 / 攻撃リスクに備える環境構築
- 効果
- (1)日々の手厚いサポートで業務効率UP!
(2)設備最適化と保守強化でコスト2割減!
(3)スムーズなサーバ移行でセキュリティ強化
目次
インフラ基盤の更新 / 強化を実現するための「3つの課題」

技術開発・DX 推進部 部長代理 覚地 英徳 様
-検討のきっかけを教えてください-
業務システムを支えるインフラ基盤の更新 / 強化を進めようと考えたことがきっかけです。
これまで使用していた業務システムは、導入から5年以上が経過し、機器や仕組みの老朽化が課題となっていました。また、近年はマルウェア感染やサイバー攻撃のリスクが高まっており、より強固なセキュリティや脆弱性への対策が急務に。古いシステムでは、こうした対策が十分に行えず、「今のままでは安心できない」という思いが強くなっていました。
さらに、コロナ禍をきっかけにリモートワークの必要性が高まり、当社でも社外からの安全なアクセスを前提とした環境づくりを進めてきました。こうした変化に対応するためには、従来のインフラでは限界があり、セキュリティ対策のさらなる強化も求められていました。
旧ベンダーにインフラ更新 / 強化について相談したところ、今後の契約に向けて価格改定(値上げ)の提示がありました。 これを受けて、コスト面の見直しも含め、より効率的かつ安心 / 安全に運用できる環境への移行を進めることにしました。
-どのような課題をお持ちでしたか?-
課題1: “1人情シス”の負担を減らすベンダー選定
万が一のトラブル発生時に迅速な対応、および十分なサポート体制を備えたベンダーを探していました。
ベンダーとのやり取りはDX推進部がおこなっています。旧ベンダーには、インシデント発生時に的確な対応をしてもらっていましたが、当社の運用体制や課題の変化に伴い、再発防止に向けた支援や監視体制の強化など、より高度でスムーズなサポートが必要となってきました。
実際にトラブルが発生した際には、旧ベンダーの営業担当者へ連絡を取りましたが、タイミングによっては対応に時間を要することもあり、1日以上返答をいただけないケースもしばしば。当社内でも原因の特定に努めましたが、専門的な知識が十分でない部分もあり、解決までに時間を要することがありました。
また、日常的な相談や問い合わせについても、気軽にコミュニケーションがとれる環境があれば、DX推進部の負担軽減にもつながるのではないかと感じていました。DX推進部は、インシデント対応に加えて、サーバや端末の管理など複数の業務を並行して担っており、業務負荷が非常に高い状況でした。さらに、当時はDX推進部の業務はほぼ1人で対応しており、まさに「1人情シス」状態。何か困りごとがあっても解決には時間がかかってしまっていました。
こうした背景から、よりスムーズな対応と、安心して任せられる体制を持つベンダーの選定が急務に。少しでも業務負荷を軽減し、安定した運用体制を構築したいと思っていました。
課題2:コスト高騰への対応と自社運用からの脱却
業務システムの老朽化や、電気代 / 人件費の高騰など、外部環境の影響によって運用コストが年々増加。 こうした状況の中、やむを得ない値上がりに悩まされていました。ランニングコストを抑えるため、業務システムの容量やCPU負荷の監視などの手間のかかる運用も自社で対応。実際にアラートが発生した際には、現行業務の手を止めて対応にあたる必要があり、現場の負担は少なくありませんでした。
ベンダーに運用をお任せすれば対応はスムーズになる可能性もありましたが、コスト面の懸念から、自社メンバーで協力しながら何とか運用を継続。価格の高いサービスは避け、できる限りランニングコストを抑える工夫をしていたものの、継続運用に限界を感じていました。
また、オンプレミス環境も一部残っていたため、サーバ設置用のハウジングスペースが必要でした。しかし、そのためには別途手間と費用がかかってしまい、悩んでいました。「限られた予算の中で、どうすれば安定した運用を維持できるのか」悩みや不安が募っていました。
課題3:震災 / 水害 / 攻撃リスクに備える環境構築
約7年前にさかのぼります。当時は、社内にサーバを設置し、インフラの管理をすべて自社で行っていました。しかし、本社の近くには常願寺川があることや、東日本大震災の発生、IT技術の高度な進展によるサイバー攻撃や情報漏えいのリスクなどを受けて、BCP対策の重要性が高まってきました。
こうした背景から、約5年前に他社のデータセンターへサーバを移行。一定のリスク軽減は図れましたが、その後も業務システムの老朽化やセキュリティ面での不安が残り、年々課題が増えていく一方でした。
インフラ基盤の強化は段階的に進めてきましたが、災害対策やセキュリティ要件の高度化により、年々対応すべき項目が複雑になってきました。さらに、2025年3月にはインフラ基盤の契約更新時期を迎えるタイミングでもあり、インフラ基盤の抜本的な見直しと強化が急務でした。
「3つの課題」を解決する剱データセンターの『クラウドホスティング / ハウジングサービス』
-採用の決め手を教えてください-
当社の要望を的確に反映してくださっただけでなく、剱データセンターの見学機会の提供や、迅速かつ丁寧な対応も含め、総合的な信頼感が決め手です。
HCSさんの剱データセンターを実際に見学させてもらい、施設の安全性や運用体制を実際に確認できた点が大きな安心材料でした。剱データセンターは地震対策だけではなく、水害やセキュリティ対策にも優れており、BCPの観点からも非常に信頼できる環境であると実感。
また、見積もりの提示や各種依頼への迅速かつ丁寧な対応も安心して任せられるポイントでした。これまで導入していなかった保守対応や、容量/CPU負荷状況などのシステム監視といったサービスが含まれていたことも魅力的で、運用面での負担軽減につながると感じました。
さらに、剱データセンターでの運用により、運用コストの削減が見込める点も採用の後押しに。コスト面だけでなく、サービスの質やサポート体制を含めた総合的なコストパフォーマンスの高さが魅力的でした。

技術開発・DX 推進部 牧野 寛子 様
-工夫された点を教えてください-
インフラ基盤の更新を進める際、どこから手を付ければよいか分からない状態でした。そこで、専門のコンサルタントと相談しながら提案依頼書を作成し、必要不可欠な要件を明確にした上で、複数の企業から提案を受けました。提案後も、コンサルタントや他社の意見を参考にしながら慎重に検討を重ねました。
2025年3月にインフラ基盤の契約更新期限を迎えることから、ステップ型(①インフラ基盤更新 / セキュリティ対策、② DXへの取り組み)で要望の優先順位をまとめ、インフラ基盤更新を最優先事項として検討を進めました。リモートワークの拡大により、十分な帯域を確保した回線維持が不可欠に。既存の環境を維持しながら、安全で安心なインフラ基盤の構築が必須でした。
優先度を明確にしたことで、限られた予算や時間の中でも、早急に対応が必要な「インフラ基盤の更新 / 強化」に集中でき、対応の遅れや混乱を防ぐことができました。対応がスムーズに進み、次フェーズである「 DX への取り組み」も着実に取り組めるのではないかと期待しています。
また、インフラ基盤更新に伴って端末の一元管理を実現するため、社員には「Active Directory*1」の参加を促しました。DX推進部のメンバーで、「Active Directory」への参加に必要な設定手順書の作成から説明会や、全国拠点への訪問/リモート支援を実施。その結果、約3週間という短期間で大きな混乱なくスムーズに対応が完了しました。
*1:Microsoftが提供するWindows Serverに搭載されたディレクトリサービスで、
企業や組織内のIT環境を効率的に管理するための仕組み
導入効果・メリット
-取り組みの効果はいかがでしたか?-
効果1:日々の手厚いサポートで業務効率UP!
HCSさんの対応は非常に迅速で、何かあればすぐに相談できる環境が整っている点に大きな安心感があります。親身になって話を聞いてくれる姿勢や、レスポンスの早さにはいつも助けられており、信頼してお任せできると感じています。
以前はコスト面の制約もあり、インシデント発生時のみ状況を確認する運用に留まっていましたが、現在はCPU負荷の状況などを定期的に共有・監視してもらえるようになり、以前よりも安心感が増しています。
また、剱データセンターへのサーバ移行後は自社内でシステムトラブルなどの問題を抱えることなく、必要な情報は担当SEが迅速に共有してくれるので、業務の効率化とDX推進部の業務負荷の軽減につながりました。
効果2:設備最適化と保守強化でコスト2割減!
剱データセンターへのサーバ移行により、全体のコストの約2割削減を実現。以前のインフラ基盤では過剰な設備投資があり、問題視していました。しかし、HCSさんから適切な設備構成の提案を受けたことで、無駄を省いた効率的な運用でコスト削減につながったと思います。
さらに、HCSさんは、価格以上に充実した保守やサービスを提供してくれるので、運用面でも大きなメリットを感じています。 特に、システム保守に特化した運用へと切り替えたことで、電気代 / 人件費高騰へも対応できる環境が整い、さらなるコスト削減が可能となりました。
総合的なコストパフォーマンスを踏まえ、最適な選択として「プライベートクラウド*2」に移行を決定しました。自社専用のクラウド環境により、安定した運用と柔軟な拡張性を両立できる体制が整いました。
*2:企業や組織が自社専用に構築 / 運用するクラウド環境のこと
効果3:スムーズなサーバ移行でセキュリティ強化
サーバ管理に関しては、「クラウド」や「オンプレミス」などさまざまな選択肢がある中で、当社では「プライベートクラウド」を採用。これにより、バックアップ体制が強化され、情報漏えいのリスクも軽減し、セキュリティ面での安心感が高まりました。
導入前の提案や、剱データセンターの見学を通して、施設がセキュリティ対策だけでなく、水害や地震などの自然災害対策にも強いことを確認でき、安心してサーバ設置ができると感じました。
また、ホスティングサービスおよびハウジングサービスを導入し、剱データセンターへのインフラ基盤の移行は、当初のスケジュール通りに滞りなく進行。特にホスティングや導入テスト段階でのトラブルの発生を懸念していましたが、実際には大きな問題もなく、予想以上にスムーズに完了しました。「こんなに早く、しかも簡単に移行できるとは」と、良い意味で期待を裏切られる結果となりました。契約更新の期限が迫っており、急いでいましたが、無事間に合うことができました。
今後の展望
-今後、取り組みたいことをお聞かせください-
当社では「基幹システムの更新」と「インフラ環境の整備」を起点に、社内外のデータ連携基盤の強化を進めています。剱データセンター内のサーバ間や各種クラウドサービスとの連携を強化することで、生産性の向上と業務効率化を実現するという目標に向けて取り組んでいきたいです。また、以前は個人単位で行っていたアクセス権の管理を、組織単位に移行することで、DX推進部の負担軽減と業務全体の生産性向上につなげたいと考えています。
こうした取り組みの第1段階として、まずステップ①ではインフラ基盤の更新が完了しました。現在はさらなるセキュリティ強化に向けて対応を進めています。特に、現場作業員のリモート接続による業務が増加していることから、利用者数の拡大に対応するためにも、今後も継続的にセキュリティ強化を進めていく方針です。
続くステップ②では、DX推進に向けた具体的な施策として「紙帳票の電子化」を進め、作業の迅速化や情報管理の効率化を図る予定です。さらに、新たなツールの導入、既存運用の改善など、今後の状況を見ながら順に対応予定です。
-インタビューにご協力いただきありがとうございました-

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導入サービス
関連導入事例
明日起こるかもしれない災害、業務継続に必要なITインフラ強化策とは?
- 導入サービス:剱データセンター 専用ホスティング
- 課題
- (1)水害の心配がない環境へのサーバ移行
(2)「本社集約型」のボトルネック解消
(3)情シス担当者の属人化解消、負荷軽減
- 効果
- (1)震災による業務影響はゼロ
(2)本社有事の際も他拠点は業務継続可に
(3)情シス担当者は新たな取り組みへ
人手不要!事業を止めないためのクラウドシフトとは?
- 導入サービス:Oensクラウドホスティングサービス
- 課題
- (1)負担がかかるサーバ管理
(2)ハードウェア障害のリスク対策
- 効果
- (1)サーバの管理不要
→ 本業の製造管理に専念!
(2)クラウド活用で「所有」から「利用」へ
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クラウド化の課題解決「8の事例」
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