“人に聞く” から “自分で調べる” で効率化!社員の意識を変えるAIによる新しい働き方

事例|建設業における生成AI活用の方法とは?

公開日: 2025.10.01

HCSNewsLetter 第252号

取材協力

総務部 係長 青竹 優 様
総務部    小林 音椰 様

株式会社辻広組様について

[所在地]
福井県福井市江守中町8-18

[事業概要]
建築 / 土木業(一般土木・舗装工事・建築工事・とび土工・解体・鋼構造物工事・運動施設等設計施工)。

株式会社辻広組様 Webサイト

 担当者の経験と勘に頼った業務運用、総務部への頻繁な社内問い合わせ、煩雑なドキュメント管理など、情報の属人化と非効率な対応を改善するため、『xHaiCS chat』を導入。業務マニュアルや手順書の整備・登録により、社員が自ら情報を検索・活用できる環境が整い、属人化解消や負担軽減で業務効率化への期待が高まった事例をご紹介します。

課題
(1)担当者の “経験と勘” に頼る業務からの脱却
(2)1日10件以上ある社内問い合わせ対応の負荷軽減と効率化
(3)煩雑な社内ドキュメント管理の見直し
効果
(1)“人に頼らない体制” の構築!
(2)調べる文化の浸透と問い合わせ対応最適化
(3)暗黙知の ”ドキュメント化” が進み、ナレッジの一元化を実現!

目次

業務効率化と属人化解消を実現するための「3つの課題」

総務部 係長 青竹 優 様

-検討のきっかけを教えてください-

 営業事務担当者の産休をきっかけに、業務の属人化が顕在化。担当者しか把握していない手順や対応が複数存在していたことで、業務の引継ぎがうまく進まず、苦労していました。

 

 今後も退職や長期休暇などで担当者が不在になるケースは想定されるため、社員が自ら調べて業務を進められる仕組みがあれば、業務の停滞を防ぎ、負担軽減にもつながると考えていました。

 

 そんな中、展示会でHCSさんのブースを訪れた際に『xHaiCS chat』のサービス概要の紹介やデモンストレーションを受け、「このサービスなら属人化の解消や業務効率化に役立ち、今後も幅広く活用できる」と感じ、生成AIツールの導入を本格的に検討することにしました。

-どのような課題をお持ちでしたか?-
課題1:担当者の “経験と勘” に頼る業務からの脱却

 営業事務の業務は、長年担当していた社員の経験と勘に基づいて進められており、業務手順や対応方法が明文化されていない状態。特に、県や市の入札管理業務に関しては、チェック項目の確認、資料作成の手順、専用申込サイトの操作など、担当者しか把握していない情報が多く、他の社員がすぐに対応できない状況でした。

 

 その担当者が産休に入ることが決まった際、初めて「このままでは引継ぎができない」と危機感を持ち、急遽ドキュメント化を進めることに。しかし、日常的に業務内容を整理・記録していなかったため、どこから手をつければ良いか分からず、引継ぎ作業は非常に大変でした。担当者にはぎりぎりまで出社してもらいながら、引継ぎ対応を行っていました。

 

 また、営業事務の業務に限らず、他の部門でも担当者に頼った業務が多く、属人化は全社的な課題に。特定の人にしか分からない業務が社内に複数あり、情報の共有や引継ぎがスムーズに行えないことが、業務効率の低下や社員の負担増加につながっていました。

課題2:1日10件以上ある社内問い合わせ対応の負荷軽減と効率化

 当社では、社員からの社内問い合わせ対応を総務部の担当者2名で行っています。問い合わせは、直接聞きに来る、電話、メールなど様々。内容も「Wi-Fiが繋がらない」「複合機が動かない」といったIT関連から、業務手順に関するものまで幅広く、1日2〜3件、多い日には10件以上の問い合わせを受けます。

 

 特に現場からの問い合わせでは、電話やメールで解決できないケースも多く、総務部の担当者が往復1時間ほどかけて現場に足を運ぶ必要がありました。現場での対応は5分程度で終わる内容でも、その場にいる社員で対応できない場合は総務部の担当者が行かざるを得ない状況に。移動時間や作業の中断による負担は非常に大きく、非効率な対応が日常的に発生していました。

 

 また、社内にはPC操作に不慣れな社員も多く、情報を自分で調べる習慣が根付いていないことも課題でした。「知っていそうな人に聞いた方が早い」意識が根付き、担当者への依存が強まっていました。その結果、数日後に繰り返されることもあり、総務部の担当者の業務が何度も中断されることに。こうした問い合わせ対応は、本来業務の妨げとなり、結果的に残業が発生する要因にもなっていました。

 

 総務部としては、「まずは自分で調べてほしい」という思いがありましたが、当時は社員が自ら情報を探せる環境が整っておらず、問い合わせ対応の負担は増す一方。こうした状況を改善するためには、社員が必要な情報を自分で検索・確認できる仕組みづくりが不可欠でした。

課題3:煩雑な社内ドキュメント管理の見直し

 社内のドキュメント管理は、部門ごとにサーバーが分かれており、①営業・管理部、②工事部を含むそれ以外の部門で、それぞれ別のファイルサーバーを使用していました。部門をまたいで関係するドキュメントについては、同じファイルを複数の場所に保管する状態になり、「どれが最新なのか」「どこを見れば正しい情報があるのか」が分からないという状況が発生。更新日時が異なる同じファイルが複数存在することで、正確な情報にたどり着くまでに時間がかかることも多く、ファイルを探す作業はかなり非効率でした。

 

 さらに、ファイルの量も膨大で、サーバーには約5TBのデータが保管されていました。その中には、図面などの大容量ファイルも多くあり、社員が目的の情報を探す際には、経験や勘を頼りにフォルダを開き、ひとつずつファイルを確認するという手間のかかる作業を行っていました。「この資料に必要な情報があるはず」と思って開いても、実際には記載がなく別のファイルを探す、という作業を何度も繰り返していました。

 

 当時はドキュメントの整理が不十分で検索性も低い状態だったので、情報の活用が進まず、結果として業務の属人化や問い合わせ対応の負担を助長することに。情報を一元管理し、誰もが簡単に必要な情報にアクセスできる環境の整備が急務でした。

「3つの課題」を解決する対話型AIチャットサービス『xHaiCS chat

-採用の決め手を教えてください-

 展示会で『xHaiCS chat』を初めて見た際、実務での活用イメージがしやすく、「質問 →回答」のシンプルな構成が魅力でした。質問内容がインデックス(検索区分)ごとに整理されており、導入後の運用をイメージしやすく、「これなら実務でもすぐに活用できる」と安心感がありました。「人に代わる存在」として社内で活用できる可能性を感じました。

 

 業種特化型の生成AIチャットサービスの紹介も受け、『xHaiCS chat』と比較しました。基本的なマニュアルがあらかじめ登録されている点は魅力的でしたが、過去数年分の情報が登録されていることで、「どの情報が検索に引っかかるのか分からない」「必要な情報にたどり着けるか不安」といった懸念がありました。自社の業務に合わせて柔軟に “ ナレッジ※1 “ を登録できる点で、『xHaiCS chat』の方が当社には適していると判断。導入のタイミングも、属人化の課題が顕在化した時期と重なり、即決でしたね。

 

 また、導入にあたっては「今この波に乗らなければ、後々損をするかもしれない」という危機感もありました。生成AIツールは今後どの企業でも導入が進むと考えており、早い段階で取り入れることで、業務効率化や生産性向上につながると確信していました。多少強引にでも一歩を踏み出すことで、社内の意識改革にもつながると考え、導入を決断しました。

 

 ※一般的に「知識」や「情報」、「知見」を指すが、

  ここでは企業や組織、個人が持つ有益な「知識」や「事例」

  「ノウハウ」や「経験」などを資料化したものを指す。

総務部 小林 音椰 様

 

対話型AIチャットサービス『xHaiCSchat』の詳細を見てみる >>

 

-工夫された点・苦労した点を教えてください-

 導入にあたり、いきなり全社展開するのではなく、まずはスモールスタートで運用を始めました。初期段階では、各部門の部門長にアカウントを発行し、どのようなドキュメントを登録すべきかを事前に相談したうえで、運用方針を固めていきました。この段階で、社内の情報をどのように分類・整理するかが重要なポイントとなり、各部の所属長と話し合いながらインデックス(検索区分)を6つに分ける方針を決定しました。

 

 また、利用者への周知にも力を入れました。使い方を説明する動画を自社で作成し、「○○をクリックして、▲▲のように質問すると回答が得られる」といった具体的な操作方法を周知することで、社員が安心して使えるように配慮しました。今後はさらに周知を強化し、利用促進を図る予定です。

 

 一方で、導入後にはいくつかの課題も見えてきました。社員の中には、インターネット検索のように単語だけを入力して質問する人もおり、うまく回答が得られないケースが発生。また、どのインデックス(検索区分)で検索すればよいか分からず、誤った場所で質問してしまうことで「情報が見つからない」と感じる社員もいました。こうした利用者側の理解不足を補うために、今後は “ プロンプト※2 “ の書き方や検索のコツなどをさらに周知していく必要があると感じています。

 

 ナレッジの登録についても、文章ではなく図や矢印だけで構成されたドキュメントが多く、うまく活用できないケースがあることが分かりました。そのため、今後は文章での表現を重視したナレッジ作成を進め、生成AIの性能を最大限に活かせるような土台づくりを目指しています。現在は、HCSさんに依頼して「管理者向けナレッジ勉強会」の実施を検討しており、営業担当やSEと連携しながら進めています。

 

 ※2:AIに与える自然言語の指示や質問。

導入効果・メリット

-取り組みの効果はいかがでしたか?-
効果1: “人に頼らない体制” の構築!

 導入初期は試行錯誤の連続でしたが、社内のITリテラシーや業務の実態に合わせて柔軟に対応することで、少しずつ活用の幅が広がることを期待しています。

 

 『xHaiCS chat』の導入によって、長年の課題であった業務の属人化が大きく改善される兆しが見え始めています。これまで、業務内容は特定の担当者しか把握しておらず、引継ぎの際には大きな負担がかかっていました。導入後は、業務マニュアルや手順書などを『xHaiCS chat』に登録することで、誰でも必要な情報を簡単にアクセスできる環境が整いました。特定の人に依存することなく、業務を進められる体制が構築されつつあります。

 

 属人化の解消は、単に業務の引継ぎをスムーズにするだけでなく、社員一人ひとりが自律的に業務を進められる環境づくりにもつながると思います。現在は、社内への周知や管理者によるナレッジ登録の強化など、初期対応を進めているところですが、今後ナレッジの質をさらに高めることで、より多くの業務領域で属人化を防ぎ、組織全体の生産性向上につなげていきたいです。

効果2:調べる文化の浸透と問い合わせ対応最適化

 総務部の担当者が日常的に対応していた社内問い合わせの負担が大きく軽減されると感じています。導入前は、社員からの問い合わせが多く、特に現場対応では総務部の担当者が直接現場に向かう必要があり、非効率な作業が発生していました。導入後は、社員が自分で情報を検索できる環境が整いつつあります。

 

 現在は、「まずは『xHaiCS chat』で調べてみてください」という運用を社内に浸透させている段階です。今後はこの運用が定着することで、総務部への問い合わせ件数が減少し、業務の中断や残業の削減につながることが期待しています。特にIT関連のトラブル対応では、手順書やマニュアルをナレッジとして登録することで、現場の社員が自力で対応できるようになれば、総務部の担当者が現場に出向く必要もなくなり、時間や労力の削減につながると思います。

 

 今後は、ナレッジの内容をさらに充実させることで、より多くの問い合わせに対応できる環境を整え、総務部の問い合わせ対応に関する負担軽減と社内全体の業務効率化を実現していきたいです。

効果3:暗黙知の ”ドキュメント化” が進み、ナレッジの一元化を実現!

 『xHaiCS chat』の導入をきっかけに、社内でのドキュメント共有に対する意識が高まりつつあります。これまで、業務に関するノウハウや手順は担当者の頭の中に留まっていることが多く、文書化されていない情報も少なくありませんでした。導入後は、各部門で「どの情報を共有すべきか」「どのように整理すればよいか」といった議論が生まれ、ナレッジ作成に取り組む動きが少しずつ広がっています。

 

 情報の整理にあたっては、社員が目的の情報にすぐアクセスできるよう、検索区分(インデックス)を6つに分類しました。「①社内規則、②社内業務マニュアル、③社外業務マニュアル、④現場で使用するアプリのマニュアル、⑤内製システムのマニュアル、⑥入札関連の要綱」など、業務内容に応じて明確に区分。このインデックスの整備により、社員が「どこを見れば情報があるか」が一目で分かるようになり、情報の一元管理にもつながっています。

 

 現在は、各部門の担当者がマニュアルの新規作成や既存資料の改修を進めており、社内で蓄積されたノウハウを『xHaiCS chat』に登録することで、他の社員も活用できる環境づくりが進行中です。ただし、図や矢印だけで構成された資料が多く、生成AIがうまく読み取れないケースもあるため、今後は文章での表現を重視したナレッジ整備が重要になると考えています。

 

 総務部としては、HCSさんに依頼して「管理者向けナレッジ勉強会」を実施してもらい、ナレッジ作成のポイントや活用方法を社内に周知していく予定です。まだ試行錯誤の段階ではありますが、社員が自ら情報を整理・共有する文化が根付いていけば、社内全体の情報活用力が高まり、業務の効率化にもつながると期待しています。

 

 

対話型AIチャットサービス『xHaiCSchat』の詳細を見てみる >>

今後の展望

-今後、取り組みたいことをお聞かせください-

 まずは、社内業務のさらなる効率化を目指し、引き続き利用促進に取り組んでいきたいです。社内にはITリテラシーの差があるものの、若手社員を中心に前向きな姿勢も感じられます。今後もHCSさんと連携しながら、勉強会や周知活動を通じて社内全体の理解を深めていく予定です。『xHaiCS chat』を単なるツールとしてではなく、業務改善のパートナーとして活用しながら、より働きやすい環境づくりを進めていきたいと考えています。

 

 将来的には、顧客対応にも活用できる可能性を感じています。例えば、現場監督がその場でお客さまから「この面積の舗装だと費用はどれくらい?」と尋ねられた際に、『xHaiCS chat』を使って概算を即答できるような仕組みが整えば、レスポンスの迅速化につながり、顧客満足度の向上にも寄与できると考えています。

-インタビューにご協力いただきありがとうございました-

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